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『ピグマリオン-人形愛』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

 2017年1月5日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんの新作公演を鑑賞しました。ジャン=フィリップ・ラモーの「ピグマリオン Pygmalion」を元にしたオペラの演出、という仕事を引き受けた勅使川原三郎さんが、そのための原型として作成したという(終演後トークによる伝聞)、60分のダンス公演です。


[キャスト他]

演出・照明: 勅使川原三郎
出演: 勅使川原三郎、佐東利穂子


 ギリシア神話におけるキプロス島のピュグマリオン王の伝説を元にした作品で、タイトル通り人形愛がテーマになっていますが、その構成は複雑かつ多義的です。二人のうちどちらが人形なのか(というか人間でないのか)、そもそも二人なのか、それとも一人の人間の内面なのか、といったレベルで曖昧な感じ。

 最初に登場する勅使川原三郎さんは、人形のようにぎくしゃくとした動きで、人外のものを表現します。獣の唸り声、さざ波のように舞台上をゆるやかに流れる照明の驚くべき効果、そこに立っているのに見えない表情、などが相まって、劇場そのものが異様な空間に変容してゆくように感じられます。

 佐東利穂子さんは、椅子に腰掛けたまま動かない人形(彫像)として登場し、やがて勅使川原三郎さんから魂だか何だかのエキスを繰り返し注がれることで生命を得て、少しずつ動き出します。最初はポーズの断続、やがて次第になめらかになってゆく美しい動き。

 勅使川原三郎さんの演出としては珍しいことに、二人はコンタクトするばかりか、しっかりとハグします。そこから終演までの展開はけっこう衝撃的。静かに椅子に腰掛けてこちらを見る(でも表情は見えないし、そもそも人間にも見えないし、背景音は獣の唸り声)という勅使川原三郎さんの姿には鳥肌が立ちました。ヤバい。

 終演後トークで、今後の予定をいくつか話してくれました。記憶している限りでメモしておきますと、すでに欧州、北欧、アジア、キューバで仕事が入っているとのことで、次のKARAS APPARATUSでの公演は5月。しかしそれでは間が空き過ぎるだろうということで、3月に帰国した際に2日間だけ特別公演を行う、らしいです。いくら何でもハードワーク過ぎるのではないかと心配になります。



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