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『17's MAP』(構成・振付:近藤良平、コンドルズ) [ダンス]

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「け、け、……、け・ん・ぽ・う・か・い・せ・い!」
「い、い、……、い・み・ん・も・ん・だ・い!」
「い、い、……、……、……、い、いも!」
「……、も・ん・ぶ・か・が・く・だ・い・じ・ん・しょ・う・じゅ・しょ・う!」
(盛大な拍手)
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 2017年5月12日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行って、近藤良平率いる大人気ダンスカンパニー「コンドルズ」の新作公演を鑑賞しました。毎年、この時期になるとさいたま芸術劇場にやってくる恒例の「地域の皆様にも初夏の風物詩として親しまれている」(劇場関係者談)コンドルズさいたま公演、第11回です。上演時間95分。

 当日はまさに開演の1時間前に埼京線が人身事故で全面運休するというアクシデントがあり、与野本町へのアクセスが断たれてしまいました。私たちは車内アナウンスを聞いてタクシーを探すべくホームに降りたのですが、その途端にドアが閉まって発車(とりあえず一駅だけ動かすことになったらしい)、小さな駅に取り残され、タクシー全滅、状況不明、というパニック状態に。

 とりあえず何とかぎりぎり開演時間に劇場に駆け込んだのですが、そこで開演を15分遅らせるというアナウンスがあり、とりあえずトイレ時間確保。

 勝山康晴さんが急遽登壇して「ぼくと尾崎豊」みたいなトークで場を持たせます。客席に向かって「コンドルズはどうでもいいけど尾崎豊を聞きにきた」という方はおられますか」と(たぶん冗談で)質問したのに対して、手が挙がったのには驚きました。尾崎ファンすげえなおい。

 結局、30分遅れで開演。大半の観客が何とか間に合ったようです。劇場関係者もコンドルズのメンバーも調整が大変だったろうと思います。ありがとうございました。

 というわけでようやく幕があがると、そこには観客席から見て左手前から舞台奥まで延々と伸びている「壁」が。プロジェクションにより無機質なコンクリート壁に見えたり、フェンスに見えたりします。存在感ならバットシェバ舞踊団のあの「壁」にも負けません。

 これまでのさいたま公演でも、圧倒的なまでの舞台の奥行きを利用した演出が恒例だったのですが、今回は最初から全開。

 で、この「壁」の前でいろいろとやらかすわけですが、何しろテーマが「17歳」ということで、思春期男子の間抜けと体力と妄想が炸裂。コンドルズのトレードマークとなっている学ランが見事に決まっています。

 逆光のなか、やたらかっこいい決めポーズの影となって佇む、という本来「お笑い」であるべき演出が、これが本当にかっこいい、という驚き。

 特殊影絵芝居はありましたが、今回は人形劇は省略。これまでの公演で用いた人形を与野本町駅で特別展示していたのと関係があるかも知れません。ないかも知れません。

 近藤良平さんが踊るシーンはいつもより多く、最後はかっこいいソロで決めてくれました。カーテンコール後、越えられないものの象徴として使われていた「壁」をさっと開いて(一部がドアのように開閉する仕掛け)退場したのには思わず笑ってしまいました。「壁」を前に蹉跌したり叫んだりしていた思春期とは違って、大人だからね。


タグ:近藤良平
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