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『時の渦 Vortex Temporum』(アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル振付、ローザス、アンサンブル・イクトゥス) [ダンス]

 2017年5月6日は、夫婦で東京芸術劇場プレイハウスに行ってローザスの公演を鑑賞しました。先日の『Fase』がローザスの原点だとすれば、こちらは現時点における到達点ともいえる『時の渦』、日本初演です。ローザスとイクトゥスによって「演奏」される60分。


[キャスト他]

振付: アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
作曲: ジェラール・グリゼー
演奏: アンサンブル・イクトゥス


 アンサンブル・イクトゥスの七名と、ローザスのダンサー七名が、フランスの作曲家ジェラール・グリゼーの『時の渦 Vortex Temporum』を演奏します。

 『ドライアップシート』や『レイン』でのローザスとの共演を観たせいで、個人的にはローザスとセットで印象づけられているアンサンブル・イクトゥス。そのメンバーが、ピアノ、フルート、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを演奏します。

 第一楽章が終了すると、ローザスのメンバー六名が登場。各ダンサーがそれぞれ一つの楽器パートを担当し、それまで演奏されていた楽器のパートを、身体の動きにより「変奏」してゆきます。

 第二楽章以降はイクトゥスもローザスも一名追加されてそれぞれ七名になり、全員で舞台上をゆっくりと渦巻きのように動いてゆきます。歩きながら演奏するイクトゥスも凄い。グランドピアノすら渦に巻き込まれるようにして舞台上をゆっくりと移動します。

 先日の『Fase』では音楽の構造そのものをダンスで表現していましたが、今や楽譜を身体で「演奏」するところまで到達した振付には驚かされます。楽器による演奏と身体による演奏が合わさって、視聴する音楽が形成されてゆく様には大興奮。

 渦を巻く最終楽章のうねりもかっこいいのですが、個人的に最も印象深かったのは、第二楽章のあたりで照明が次第に暗くなり、風の音(というか、いびき音に聞こえた)が静かに響く場面。これから何かが起こるという予感のような期待と怖さに感情が昂ります。


タグ:ローザス
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