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2016年を振り返る(5)[詩歌] [年頭回顧]

 2016年には、東京国立近代美術館で開催された「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」が強烈なインパクトを残してくれました。また、児童文学総合誌「飛ぶ教室」の詩歌特集号も忘れがたい。


『声ノマ 全身詩人、吉増剛造展』
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-08-01

『飛ぶ教室 第44号(2016年冬) 金原瑞人編集号 えっ,詩? いや,短歌! それとも俳句?』(斉藤倫、最果タヒ、文月悠光)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03


 詩集では、異国における生活の断片を静かに散りばめてゆく、三角みづ紀さんの『よいひかり』と和田まさ子さんの『かつて孤独だったかは知らない』の二冊に強い感銘を受けました。


『よいひかり』(三角みづ紀)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-12-01

『かつて孤独だったかは知らない』(和田まさ子)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09


 読者を異界へ誘い込んでゆく詩集は個人的に好みなのですが、とにかくじんわり怖くなる日和聡子さんの『砂文』、戦争や虐殺に逃げずに向き合おうとするカニエ・ナハさんの『馬引く男』、ほのぼのしているようでどこかひやりとしたものも感じる岩佐なをさんの『パンと、』が印象的でした。


『砂文』(日和聡子)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27

『馬引く男』(カニエ・ナハ)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30

『パンと、』(岩佐なを)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17


 詩はいわゆる詩的な言葉から生まれるとは限りません。一昨年は少女マンガの言葉から先鋭的な現代詩が生まれる様を目の当たりにして感激したのですが、昨年はロックのベタベタな歌詞や表現からクールな現代詩を紡いでみせた山﨑修平さんの『ロックンロールは死んだらしいよ』、ひらがな連打でリズムを刻む橘上さんの『うみのはなし』、知覚対象ではなく知覚体験をそのまま表現するための意表をつく技法が冴える貞久秀紀さんの『貞久秀紀詩集』という三冊が、先入観をぶちぶちにしてくれました。


『ロックンロールは死んだらしいよ』(山﨑修平)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-12-26

『うみのはなし』(橘上)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16

『貞久秀紀詩集』(貞久秀紀)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-04-05


 四元康祐さんの長篇小説とエッセイ集も面白かった。特に、文学ムック『たべるのがおそい vol.2』に掲載された『ミハエリの泉』と、詩のオリジナリティとは何かという疑問を扱った長篇『偽詩人の世にも奇妙な栄光』。


『たべるのがおそい vol.2』(石川美南、宮内悠介、穂村弘、津村記久子、四元康祐、西崎憲:編集)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

『偽詩人の世にも奇妙な栄光』(四元康祐)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-03-01

『現代ニッポン詩(うた)日記』(四元康祐)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-05-25


 歌集はあまり読めなかったのですが、何といっても木下龍也さんの第二歌集は素敵でした。


『きみを嫌いな奴はクズだよ』(木下龍也)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29


 短歌エッセイから絵本まで、どんどん出版される穂村弘さんの本はどれも面白い。これで歌集も読めれば、と。


『短歌ください その二』(穂村弘)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-03-30

『短歌ください 君の脱け殻篇』(穂村弘)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-05-19

『ぼくの短歌ノート』(穂村弘)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-04-04

『まばたき』(穂村弘、酒井 駒子:絵)
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-02-09



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