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『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(今泉忠明:監修) [読書(サイエンス)]


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この本に登場するのは、ものすごく不便そうな体や、
なんだか大変そうな生き方、意味のなさそうな能力など、
はたから見れば「ざんねん」な感じがする生き物たち。
どうしてかれらが「ざんねん」になってしまったのか、
どんな運のよさのおかげで生き残ってこれたのか……。
そんなことを考えてみるのも、
おもしろいですよ。
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単行本p.23


 生物種は進化によってどんどん環境に最適化してゆく……とわけではなく、とにかく生き延びて子孫を残しさえすれば、ちょっとアレな感じのままでも大丈夫。
  「カメガエルは水に入るとおぼれる」
  「ワニが口を開く力はおじいちゃんの握力に負ける」
  「ミジンコはピンチになると頭がとがるが、効果はない」
など、人間から見てちょっと「ざんねん」に思える特徴を持った生物を取り上げて解説する、大人も子供も楽しめる生物図鑑が本書です。単行本(高橋書店)出版は2016年5月。

 進化は決まった方向に進むものではなく、偶然の変異と自然選択によって起きるので、割と雑というか「まあ致命的でなければいいか」くらいの特徴が残されたりします。本書は、そんな進化の不思議を集めた一冊。各ページに、タイトル、生物のイラスト、解説、その生物の基本情報(名前、生息地、大きさ、とくちょう)、さらに「ざんねん度」が表記されています。


  「ダチョウは脳みそが目玉より小さい」

  「ウォンバットのうんこは四角い」

  「バイオリンムシの羽の膜には、なんの意味もない」

  「ウナギの体が黒いのは、ただの日焼け」

  「ワニが口を開く力は、おじいちゃんの握力に負ける」

  「ムカシトカゲには第3の目があるが、よく見えない」

  「キツツキは頭に車が衝突したくらいの衝撃を受けている」

  「バクはおしりを水につけないとうんこが出ない」

  「カメガエルは、はねられないし、泳げない。水に入るとおぼれる」

  「ミジンコはピンチになると頭がとがる。しかし、ほとんど効果がない」

  「サソリは紫外線を当てると光るが、意味はない」


 なかには、ほっといてやれよ、というか、ただの難癖レベルの「ざんねん」も。


  「キクガシラコウモリは鼻の形が変」

  「シロヒトリのプロポーズは気持ち悪い」

  「カブトガニの脳みそは、ドーナツ形」

  「アライグマは食べ物をあらわない」


 解説もツッコミ満載。


「とにかくおしりに対してはものすごいこだわりがあるようです」(ウォンバット)

「人間がかば焼きにする前に、すでにこんがり焼けていたのですね」(ウナギ)

「第3の目をもっているのに、あえてそれを封印しているなんて、まるでマンガのキャラクターのような設定です」(ムカシトカゲ)

「理由はよくわかっていませんが、ヒマすぎてやることがないから、というのがおおむね有力な説のようです」(アライグマ)

「脳が小さいことから致命的なダメージは受けないようですが、そもそも脳が小さくなければそんなばかげたまねはしない気もします」(キツツキ)


 こんな感じで、子供が笑いながら「進化」について学び、ポケモン的な「進化とはパワーアップしてつよくなること」という思いこみを覆してくれる楽しい図鑑です。



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