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『愛と精霊の家』(金森穣、井関佐和子、小尻健太、Noism0) [ダンス]

 2016年8月21日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行ってNoism0の公演を鑑賞しました。金森穣さんが振付・演出を担当し、井関佐和子さんを中心に全5名が踊る1時間の公演です。なお、1名はセリフ、というか口上(テキストはウジェーヌ・イヨネスコ作『椅子』より)も担当します。

 舞台には赤いカーペットが敷きつめられ、同じく赤い長椅子、数脚の椅子、マネキンのトルソ、大きな鏡(ハーフミラー)などが一見雑然と置かれています。「天井」には多数の電球が並び、それが舞台全体をぼんやりと橙色に照らし出し、まるで古めかしい欧州映画のような雰囲気。

 この電球による照明は、後に外周部だけが天井から分離して床まで降りてくるなど、様々な演出に用いられることに。ステージの広い奥行きとも相まって非常に効果的でした。演出効果といえば、ハーフミラーによる「二重写し」がドラマティックに使われるシーン、投影映像と影の共演など、いずれも映画的な効果をあげています。

 そこに登場するのは、黒いスーツに黒い帽子という黒ずくめの「男」たち、そして全身白い「女」。赤・黒・白という色彩の配置が巧みで、後に登場する緑と合わせて忘れがたい印象を残します。

 こうしたいかにもメロドラマの予感を与える舞台で、クラシックの名曲に乗せて、いかにもなメロドラマが展開してゆきます。徹頭徹尾ベタなので、好き嫌いは分かれるかも知れません。後半、いくつか配置されているユーモラスというか滑稽さが強調されるシーンが個人的にお気に入り。それと、小尻健太さんのダンスはいつ見ても素晴らしい。胸がすく思いです。

 最終パートの井関佐和子さんによるソロは、金森穣さんが若い頃に振り付けた作品。以前に映像で観たことがあるのですが、今回「長篇」の一部に取り込まれ再構成されることで、より感動的になっているように感じました。


[キャスト他]

演出・振付 : 金森穣
出演: 井関佐和子、山田勇気、小尻健太、奥野晃士、金森穣



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