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『那個鳥年代』(黃聖文) [読書(小説・詩)]

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那個年代看起來很鳥,但終究變得珍貴,因為我們永遠失去了……
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 何でも手に入り、何でも自由にできる、今の台湾で育つ子供たちを見ていると、自分が少年だった頃を、あの時代のことを思い出す。近所の駄菓子屋、憧れの中華商場、暗い街路、毛ジラミ、台湾語禁止令、解放大陸苦難同胞、総統死去……。1950年代から60年代の台湾の風景を郷愁をこめて描いたグラフィックノベル。単行本(商周出版)出版は2016年3月です。

 先週、台湾旅行中に購入した一冊です。日本が昭和30年代から40年代の頃、台湾で育った子供たちはどんな光景を見ていたのか。学校生活の様々な側面、家庭のあれこれ、『歩道橋の魔術師』(呉明益、天野健太郎:翻訳)の舞台としても知られる中華商場、そして政治と統治をめぐる様々な出来事。

 やはり絵の力というのは素晴らしい。実際にその時代を生きた人々が見たであろう光景を見ると、知識として知っているだけの台湾近現代史に命が吹き込まれるような印象です。写真よりも「臨場感」があります。異国の過去の風景から感じられる不思議な懐かしさ、そして恐ろしさ。

 絵柄はちょっと松本大洋さんを連想させるところもあります。ユーチューブでメイキング映像が公開されています。

  【那個鳥年代】五、六O年代的台灣生活回憶!
  https://www.youtube.com/watch?v=g2gXz3lU1Zc


タグ:台湾
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