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『猫の急病対応マニュアル』(佐藤貴紀) [読書(教養)]


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 飼い主さんが猫の異変に気づいた場合はすぐに病院に連れて行くことが一番望ましいでしょうが、病院が休みのときや仕事が忙しいとき、旅行先にいるときなど、すぐに獣医師に診察してもらえない場合もあるのではないでしょうか。そんなとき、猫の病状が深刻なのか、それとも様子を見ても大丈夫なのかどうかのある程度判断ができるに越したことはありません。
 それに、病院に連れて行くにしても、その前に家でできる応急手当を施しておけば、大事に至らずに済むケースも多く存在します。
 本書ではそうしたとき、飼い主さんが慌てふためかないように、主な症状と原因、さらに応急処置法を記しました」
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単行本p.3


 猫の様子がおかしいと思ったとき、考えられる原因と飼い主にできる応急処置について、コンパクトにまとめた一冊。単行本(鉄人舎)出版は2014年6月です。

 猫の医学書や治療マニュアルはけっこう市販されているのですが、本書の特徴は「とっさの対応(応急手当て)」に的を絞っていること。項目は病気の原因となっている箇所ではなく症状や異変が生じている部位ごとに分類され、飼い主がすべき処置の順番はフローチャートで明示されています。頭がパニックになっているとき、とっさに手にするための一冊です。

 全体は次の5つの章から構成されており、とりあえず「原因」ではなく「症状」ベースで該当する項目を見つけられるように工夫されています。


「第1章 顔[目・鼻・耳・口]」

  目が腫れている
  目やにが出る
  涙の量が多い
  くしゃみ・鼻水が出る
  鼻が乾いている、等

「第2章 全身・脳」

  元気がなく、体が熱い
  呼吸が速い
  触ると痛いのか、怒る
  体のどこからか出血している
  痙攣を起こしている
  歩き方がフラフラしている、等

「第3章 尿[泌尿器]」

  水をたくさん飲み、おしっこをたくさんする
  尿の量が異常に減った
  気が付くとトイレばかり行っている
  尿が臭い、濁っている
  尿から甘いにおいがする、等

「第4章 お腹[消化器]」

  吐いている(水を飲んでも吐く)
  血を吐いた
  異物(おもちゃや、食べ物など)を飲み込んでしまった
  下痢をしている
  便が2日以上出ない、等

「第5章 皮膚」

  腫れている場所がある
  皮膚が赤い
  フケが出ている
  デキモノがある、等


 それぞれの項目には、まず「主な症状と原因」として概説が書かれ、続いて「応急処置」としてどういう場合には何をすべきかが解説されます。さらにフローチャート(はい/いいえ、の矢印に沿って進むと処置に辿り着く)で分かりやすくまとめられているので、時間または心の余裕がないときは、文章を読まなくてもとりあえず対処できるように配慮されています。

 あくまで症状ベースなので、同じ病因から生じ得る複数の症状が別々の項目に分かれて載っていることもありますが、実用的にはその方が望ましいでしょう。

 というわけで、猫を飼っている人は、全体を通読した上でとっさに手にとれる場所においておくと安心。ただ、なにげない異常の裏に深刻な病気が隠れていることもあるし、また猫は病気を隠して大したことないように装うことも多いので、「おかしいと思ったら、可能な限りすぐに動物病院へ」という原則は守りたいと思います。



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