SSブログ

『インフルエンデ』(まことクラヴ) [ダンス]


 2016年1月24日は、夫婦でシアタートラムに行って、遠田誠ひきいるダンスカンパニー「まことクラヴ」の新作公演を鑑賞しました。12名の出演者による80分の作品です。

 青く照らされた垂れ幕に周囲をぐるりと囲まれ、いかにも海のなかを思わせる雰囲気になっている舞台。床にはゴミ(ペットボトル)が散らばっており、どうも汚れた海底らしい。開演時間を待たず「謎の海洋生物」が海底をずりずり這い回ったりします。

 この「謎の海洋生物」たちのダンスがかなり奇天烈なのですが、ダボハゼ・荒悠平さん凄いよ、そのテイストがどんどん広がってゆきます。

 全体に漂う昭和の空気、微妙に古びているのにじゃあ見たことがあるかと問われれば否定せざるを得ない謎のレトロ新鮮感、どこか小馬鹿にされているような戸惑い。癖になりそうな踊りが、少しずつ人数を増やしながら、断続的に続いてゆきます。

 画像投影されたり小道具になったりと大活躍する会議用長テーブルの上で踊るゼッケン17番・入手杏奈さんのソロは特に素晴らしく、それもう人間の動きじゃないという奇妙な動作がぴたりぴたりはまってゆく気持ちよさ。

 ゼッケン7番・長井江里奈さんのダンスもかっこいい。逆鱗フェザータッチの皆さんの「自分たちがいま何に出演しているか気づいていませんただ一心に踊っています」という一途な感じ、最初からずっと椅子に座ったまま舞台を睥睨していて、やおら立ち上がったかと思うと厳しい「指導」を飛ばしまくる長井江里奈さん。いずれも印象的です。

 これだけ個性的で濃いダンスを、強引にひとつにまとめてしまう演出の力量には感心しました。


[キャスト他]

構成・演出:
 遠田誠
振付・出演:
 まことクラヴ(荒悠平、入手杏奈、江戸川萬時、斉藤栄治、鈴木綾香、長井江里奈)
 逆鱗フェザータッチ(小林利那、斉藤稚紗冬、菅原悠里子、藤島美乃里)
 大庭裕介、ほか