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『台湾行ったらこれ食べよう! 駅弁・鉄道旅編』(台湾大好き編集部:編) [読書(教養)]


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四角い箱に詰まった、
不思議な世界。
駅弁。
台湾っ子を
魅了してやまない
誘惑の味。

いざ、出発。駅弁の鉄道旅へ。
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単行本p.2

 台鉄の駅で売っている駅弁、高鉄の駅で売っている駅弁、ご当地自慢の駅弁。台湾の駅弁を網羅したカタログ本。単行本(誠文堂新光社)出版は2015年11月です。


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駅弁たちは総じて気まぐれ。伝統を守りつつも日々進化し続けている。次にめぐり会うときにはさらにパワーアップした姿になっているかもしれないが、それも一興。台湾らしさが凝縮された小さな箱、試さない手はない。
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単行本p.8


 いつも出来立て作りたて、ほかほか、賞味期限2時間。台湾の駅弁は美味しいのです。というわけで、台湾駅弁本です。まずは基礎情報から。


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台鉄によるオフィシャル駅弁は、台北、七堵、台中、高雄、花蓮の5つの鉄路局にあるキッチンでそれぞれ作られていて、味やおかず、ひいては駅弁のラインナップ自体が鉄路局ごとに少しずつ違って楽しい。
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単行本p.10

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台鉄の駅弁は、台湾全体で日に2万3千食売り上げるという。(中略)でき立てを届けるために毎朝4時半ごろにはキッチンが動き出す
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単行本p.35

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台鉄台北駅の鶏肉弁当は毎日16時以降の限定販売。そのほか火曜限定の北海道特色便當や、水・木曜だけのエリンギ弁当などもある。
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単行本p.12

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台鉄のホームページは更新速度があまり早くないので、最新情報を知りたいなら台北駅西三門のところにある駅弁売り場張り紙を見るのがよさそう。
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単行本p.12


 そして駅弁レビュー。主要な駅弁を、豚肉系、魚系、野菜系、地域特色系、という風に分類して、カラー写真つきで紹介。内容、味の評価、買える場所、価格。見ているだけでうまそう。

 レビューの文章もテンション高く、読んでいるだけで、こう、くわっと、腹が。


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とにかく肉が柔らかくてうまい。適度な厚み、ふわりとした噛み心地、買ってすぐ電車に乗る前に完食していたおばちゃんの気持ちがわかる。これはアツアツを食べたい。その豚肉は味つけ後に揚げてから煮込むタイプで、醤油、砂糖、八角たっぷり。しかし真に特筆すべきはタケノコ、ウメ、龍髭菜などの阿里山名産で、特にウメはシソで味を整えた香り高き一品。そこに贅沢にサバも仲間入りし、海と山の幸が同居したにぎやかなシェアハウスとなった。
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「阿里山特色便當」より
単行本p.32


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塩の素朴な、けれどもしっかりとした味わいが美味な豚肉は、最低でも3日以上漬け込んで冷蔵庫で寝かせる。よくよく寝かせたその肉には塩分と旨味がぎゅぎゅっと入り込み、グリルされることで香ばしさが加わる。名産として名高い台東のローゼルは甘酸っぱくてピンクの彩りも艶やかに、新城産のサツマイモはホクホク。寿豊のシジミの練りものもいい脇役ぶり。魚の素揚げは醤油とニンニクで1日漬け込んでからカラリと揚げた。東部の魅力、集結!
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「花東特蔬便當」より
単行本p.33


 後半では台湾各地の駅をめぐってゆくのですが、そこはさすが駅弁・鉄道旅本というか、他の観光ガイド本にはおそらく掲載されていないであろう駅の数々。


内獅駅
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日に4回しか電車が停まらない。過去の台鉄調べでは年に乗車62名、下車108名という断トツの少なさだった。(中略)ホームは出口不明で、仕方ないから雑草かきわけ道無き道から脱出した。
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単行本p.90


三貂嶺駅
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車道から駅に通じるのは道なき道しかなく、電車でしか来られない秘境駅という希少性から秘かな人気がある。早朝、誰もいない駅。廃墟のような道。
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単行本p.128


 ちなみにカバー裏は「台湾 鉄道路線マップ」になっており、台湾全体の路線と駅が一目で分かるようになっています。すべての駅弁を食べるために台湾一周するのは当たり前、という本気っぷりが伝わってきます。本文にも「駅弁を食べるついでに観光もぜひ」(単行本p.11)とわざわざ書いてあるという。

 台湾になぜ行くのか、そこに駅弁があるからだ(ついでに観光もぜひ)。


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