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『Silent Songs』(中村恩恵、首藤康之、小㞍健太、渡辺レイ) [ダンス]

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 今年5月から実施している横浜赤レンガ倉庫ダンス・ワーキング・プログラムでは、「継承」というテーマに重点的に取り組み、舞踊の歴史を実践的に学んできました。プログラムの最終章となるこの作品の創作過程においても、出演ダンサー達は豊かな経験に基づく知識を結集し、それらを伝えていこうと試みました。
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中村恩恵

 2015年11月8日は、夫婦で横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールに行って、中村恩恵さんの新作公演を鑑賞しました。中村恩恵、首藤康之、小㞍健太、渡辺レイという豪華メンバーが踊る1時間の舞台です。

 横浜赤レンガ倉庫ダンス・ワーキング・プログラムの一環で、中村恩恵さんも講師をつとめたプログラム「舞踊史講座「ダンスの歴史と現在」」を受ける形で、舞踊の歴史をたどりながら最新作へと向かってゆくという構成です。

 首藤さんが「振付家」役で、ロマンチックバレエからクラシックバレエ、モダン・ダンス、ポスト・モダンダンス、コンテンポラリー・ダンスへと進んできたダンスの歴史を解説します。

 舞踊の体系に新しい技法や表現を加えていった偉大なコレオグラファーたちの功績が紹介され、背後では出演者たちがそれぞれの「有名な動き」を踊るという、何と贅沢な導入部。「ジゼル」を中村恩恵さんが踊り、「瀕死の白鳥」を首藤康之さんが踊る(!)。みんな並んでマーサ・グレアムごっこ。なかなか観られるものではありません。

 プティパ、フォーキン、ニジンスキー、クランコ、マクミラン、グレアム、バランシン。それぞれの動き、技法、表現を出演者たちが次々と披露してゆきます。ノイマイヤー、エック、ここらで観客は「キリアン。このメンバーでキリアン踊ってほしい」と期待するのですが、そこはまあ、スルー。

 導入部が終わると、そのまま新作へと流れ込んでゆきます。

 様々な舞踊技法と動きが繰り出され、それを各ダンサーが個性豊かに踊ります。中村恩恵さんの精微できっちりとした動きの凄み、首藤康之さんの華やかなスター性、小㞍健太さんの活力あふれる超絶的な動き、渡辺レイさんの端正な上品さ。それぞれの魅力が引き出され、組み合わされ、独創的な舞台が創り出されてゆく様を観客は目の当たりに。

 というわけで、名ダンサーたちが最後まで全力で踊り抜き、コンテンポラターダンスを舞踊史につなげてみせるという、恐ろしく高密度で壮絶な公演でした。


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