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『ペール・ギュント』(小野寺修二:振付、白井晃:演出) [ダンス]

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「それにダンスもひどい。まるでブタが短パンはいてるみたいだ」(ペール・ギュント)
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 2015年7月18日は、夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って、小野寺修二さんが振り付けた『ペール・ギュント』を鑑賞しました。途中休憩15分を除いて上演時間3時間の大作です。

 劇中にダンスシーンもいくつか挟まれますが、そこは村人やらトロルたちが、ペールが言うところの“ブタが短パンはくような”下手なダンスを踊っている、という演技をしているだけで、振り付けの主眼とは言えません。ダンス作品としての見どころは、多くの出演者がいっせいに舞台に登場してせわしなく動き回る「群舞」のシーン。

 この舞台、幕を下ろさず、最初から最後まで観客が見ている前で出演者たちによって舞台装置の配置転換が行われますのですが、そこの動きが小野寺修二さんらしさの塊。一見乱雑かつ適当な印象を与えながら、時計仕掛けのように精密にものを運んでいたり、動線がきわどく交差したり、かと思うとわざとぶつかって謝ったり。

 病院や砂漠や酒場や十字路のシーンなど、たとえ主役がセリフを叫んでいても、とりあえず目は群舞の動きをじっくり追ってしまいます。わらわらと人が動いて、統制された混乱が作り出される様を。

 個人的に面白いと思ったのは、自動車が舞台上を走り回る(実際には周囲の出演者たちが押したり引いたりしている)シーンで、けっこう複雑かつ劇的な動きをごく自然にスムーズに実現していて、かっこいいと思いました。

 もう少し小野寺さんが振り付けた群舞のシーンが多ければいいのに、と個人的には思いますが、そこは演劇作品としてのバランスというものでしょう。


振付: 小野寺修二
構成・演出: 白井晃
原作: ヘンリック・イプセン
翻訳・上演台本: 谷賢一
音楽・演奏: スガダイロー、東保光、服部マサツグ

出演:
内博貴、藤井美菜、加藤和樹、前田美波里、堀部圭亮、橋本淳、三上市朗、河内大和、小山萌子、桑原裕子、辰巳智秋、瑛蓮、宮菜穂子、皆本麻帆、荒木健太朗、青山郁代、益山寛司、高木健、チョウヨンホ、間瀬奈都美、大胡愛恵、薬丸翔、石森愛望


タグ:小野寺修二
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