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『SFマガジン2015年8月号 ハヤカワSF文庫総解説PART3』 [読書(SF)]

 隔月刊SFマガジン2015年8月号は、特集「ハヤカワSF文庫総解説」の分割掲載そのパート3として、1001番から2000番までを紹介。

 また、読み切りとしては、引き続き円谷プロダクションとのコラボレーション企画として今回は藤崎慎吾、そしてケイトリン・R・キアナンの本邦初紹介となる短篇が掲載されました。


「変身障害」(藤崎慎吾)
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「……よりによって、メトロン星人が精神科医を開業していたとは」
 モロボシは頭を抱えた。
「べつに不思議はないでしょう。私ほど人間心理について、詳しく研究していた宇宙人はいないんだから」
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SFマガジン2015年8月号p.217

 あるとき急にウルトラセブンに変身できなくなり、メンタルクリニックに相談に行ったモロボシ・ダン。メトロン星人の精神科医から、同じ悩みを持つ侵略宇宙人たちが患者として多数やってきているので、一緒にグループセラピーを受けてはどうかと勧められるのだが……。もちろん診察室は和室にちゃぶ台。


「縫い針の道」(ケイトリン・R・キアナン、鈴木潤:翻訳)
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すべてのテラフォーミング・エンジンのスイッチが一斉に入り、封じ込めシステムが船首から船尾に向かって次々とカスケード状にシャットダウンしていったということに、疑問を差し挟む余地はなかった。彼女は腐って表面がキノコと苔だらけになった丸太をまたぐ。まるで数時間ではなく、何年間もそこに横たわっていたようだ。
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SFマガジン2015年8月号p.240

 テラフォーミング暴走事故で深い森と化してしまった貨物宇宙船の船内空間。何とか宇宙船の制御を取り戻すため、ヒロインは森の中を抜けなければならない。だが恐ろしいオオカミが現れて、こう言う。「赤ずきんちゃん、どちらの道をいくんだい?」
ハードSF設定、幻想的プロット、童話モチーフを巧みに組み合わせた短篇。


タグ:SFマガジン
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