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『ウルトラ第16号 特集:現代短歌(詩×短歌)』(ウルトラの会、及川俊哉:編集) [読書(小説・詩)]

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我らより派生したたる塵芥宙(ちりあくたそら)の輪となり回転止まず
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蝶、蛍、雨風虹や隕石などわれ無き後の友への合図
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神の域と問われればまだ人間もう人間じゃない3Dプリンタ
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『供花巡礼』(木戸多美子)より

 「ウルトラ」第16号は、現代短歌の特集号。詩人に短歌を書かせたり、現代詩と現代短歌をコラボレーションさせたり、興味深い試みが目をひきます。

[執筆者]

石川美南
一方井亜稀
及川俊哉
川島清
木戸多美子
齋藤芳生
高木佳子
高塚謙太郎
タケイ・リエ
田丸まひる
松本秀文
吉岡太朗
吉田隼人
和合大地
和合亮一
渡辺めぐみ


松本秀文(詩)×吉岡太朗(短歌)
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『月刊 国家自身』という雑誌で(おはよう
糞エッセイを連載する猫の手紙が繊細過ぎて
心臓がタンポポのように飛ぶくらいに泣けた
帝国の空き地で猫たちが写真撮影会に戯れる
性器が混乱したような空が抒情を釣っている

「彗星Xの絵糞堕酢盲世(エクソダスモーゼ)からメールですわ」

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『死んだひとが笑った(私たちの愛する資本)』(松本秀文)より


松本秀文(詩)×吉岡太朗(短歌)
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とうだいのねじれゆくたびゆうれいがざんぎょうだいをふりこみにくる

よんまいめのおふだがぜんぶおはなしにしたからほうふくはないやろう

りれきからゆびをたどってめたやからおんがくにするなんてずるやわ

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『せかいのとくせいがへいれつであることのあおいねじ』(吉岡太朗)より


渡辺めぐみ(詩)×石川美南(短歌)
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高原にだけ咲く花の
高すぎる茎の背が怖いと思ったことは
ありませんか
その群生の仕方が
上を向き続ける花の意志が
瞼に焼きついて眠れなかったことは
ありませんか

 ----手首切り取っても生えてくる夢に夏の戦意は鮮やかなりき

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『雪解け』(渡辺めぐみ、石川美南)より


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中性という名の脂肪を身にまとうどちらの性でもよかったりする
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手に余る脂肪の厚みドレープのカーテンみたい美魔女死すべし
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プリキユアと妖怪ウオツチを脳内に置ける広さの家に住みたし
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黄色い日花粉の受粉も激しくてカレーライスを煮込みたくなる
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『MOTHERS』(タケイ・リエ)より


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