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『男4人が互いをキャラクタライズして書いたBL詩』(及川俊哉、高塚謙太郎、松本秀文、山田亮太、河野聡子:ゲスト、そらしといろ:イラスト) [読書(小説・詩)]

「序文」(河野聡子)より
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 高塚さんの「BL詩を書こう」という提案に私は一瞬ビックリしたのですが、高塚さんはカップリングする気まんまんなのでした。
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 四人のヘテロ男性が二人ずつカップリングをつくって創作したBL詩集。同人誌発行は2015年4月です。

  「ホモソに甘えてんじゃねーよ」(河野聡子)
  「よろしい、ならばBLだ」(高塚謙太郎)

というような経緯により、批判のはるか斜め上に向けて勢いよく打ち上げられた詩界のチャレンジャー号。目次は次の通りです。


序文 (河野聡子)
『父親【山田×高塚】』(山田亮太)
『平行【松本×山田】』(松本秀文)
『フラワー【高塚×松本】』(高塚謙太郎)
『鏡の秘密90【及川×高塚】』(及川俊哉)


『フラワー【高塚×松本】』(高塚謙太郎)より
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詩の話ばかりするおまえを
植物にした
しぐれに染まる
息をなめとってくわえこんだ
エントリー・プラグで
指をつぶしながら
髪をつかんでよせ
トキオは水のようにひろがる
喉から滴る言葉がみえる
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『鏡の秘密90【及川×高塚】』(及川俊哉)より
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きみ
きみは新しい観光地が好きでしょう?
絢爛な言葉の地獄が。
蟇蛙が芋虫を食べたような顔をして、
読者は君の演ずる夢幻能を読んでいる。
幽玄が永遠に続くだなんて、
こわいとはおもわないの?
きみが隠そう隠そうとしているもののほうが気になる。
きみの指が触れた言葉が黄金に変わるのを
目を見張らせてみながら、
ぼくも蝦蟇のようなため息をつく。
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 さて、ここで問題になるのは、カップリングです。

 4人の男から作られ得るカップリングの数は、12通りです(注:6通りだと思った人は、BLまたは算数の勉強が不足しています)。そのうち作品として掲載されたのは4通り。なぜ、この4つが選ばれたのでしょうか。ここには大きな秘密が隠されているようです。

 なぜかというと、ごく普通に考えれば、

A『フラワー【高塚×松本】』
B『平行【松本×山田】』
C『?【山田×及川】』
D『鏡の秘密90【及川×高塚】』

というカップリング循環を構成することが、数学的にも、審美的にも、正しいのではないでしょうか。それなのに、あえて上記Cを捨てて、

C’『父親【山田×高塚】』

に差し替えた。ここにはどのようなメッセージが隠されているのでしょうか。特に、対称性を破ってまで高塚さんを二度「受」にすることにどのような必然性があったのでしょう。そこには現実の関係性が何やら隠微な影を落としているのでしょうか。それとも誰かから何らかの強い要望、あるいは指導があったのでしょうか。

 週末はずっとこの問題を考えていました。月曜日になって、配偶者から「高塚さんがカップリング問題の回答をネットに書いているよ」という情報を得て、急いで確認してみました。

「攻受の組み合わせも適当で、実は私が2つ受けになったのは単なるミスでした」
https://twitter.com/umayanosakana/status/607190304265936898

 わ、私の週末が……。


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