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『七つの大罪』『春の祭典』(Co.山田うん) [ダンス]

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100年ほど前の偉大な芸術家達の挑戦に対し、新しい解釈というよりもむしろ、より一層時代遅れとも言うべき響きを現代に蘇らせたく、土着的で直球的な創作舞踊に挑戦しました。
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 2015年4月26日は、夫婦で東京芸術劇場シアターイーストに行って山田うんさんの二本立て公演を鑑賞しました。バランシン『七つの大罪』、ニジンスキー『春の祭典』、それぞれの山田うん版です。前者が45分、後者が35分。


『七つの大罪』

振付・演出: 山田うん
出演: 山田うん、川合ロン
音楽: 芳垣安洋、高良久美子、太田惠資、助川太郎

 山田うんさんと川合ロンさんが二人一役のアナを踊ります(バランシンのオリジナル版でもアナの歌と踊りは別の出演者が担当したそうです)。薄暗い照明の下、演奏エリアを除けば、舞台上には机と椅子二脚があるだけ、それも途中で吊るされたり壊されたり。

 長髪の川合さんは饒舌で衝動的で歪んでいて、目付きが変なUFOコンタクティ。古くて野暮ったい、でもどこか狂気を感じさせるスーツを着た山田さんは、無表情ですぐに凝固して、呪いの人形。二人が舞台上にいるだけで「あ、これはヤバい」と、まるでうっかり心霊スポットに足を踏み入れたような感触が背中を走り抜けます。

 川合さんの躍動感あふれる動き、山田さんのMPを吸い取るようなふしぎなおどり、どちらもかっこいい。不安になるほど魅入られてしまいます。暴力的だったり煽情的だったりする演出もばんばん出てきますが、むしろ全体から感じられる狂気のようなパワーがものすごい。感激です。


『春の祭典』

振付・演出: 山田うん
出演: 荒悠平、飯森沙百合、伊藤知奈美、川合ロン、木原浩太、小山まさし、酒井直之、城俊彦、西山友貴、長谷川暢、広末知沙、三田瑶子、山下彩子

 12名の出演者が群れとなってがんがん踊るパワーあふれる作品。まずは鳥の衣装で集団求愛ダンス、さらには、爬虫類、両生類、よく分からない虫やら環形動物まで、あたかも人外魔境の饗宴、生物多様性。

 とにかく激しいリズムに乗って踊り、音楽と一体になったような細かい動きを超高速で繰り出しながら、同時にミキサーのように舞台全体を走り回るダイナミックなフォーメーション変更を続けるという過酷な振付で、生贄を選ぶどころか全員過労死が危ぶまれ。

 観ているだけでどっと疲れるような、エネルギッシュで異様な高密度の春祭。猛烈にハイになります。


タグ:山田うん
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