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『ときめくコケ図鑑』(田中美穂、伊沢正名:写真) [読書(サイエンス)]

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ごく身近に生えているものから、ちょっと珍しいものまで、蘚類71種、苔類34種、ツノゴケ類1種、全部で106種のコケを紹介しています。(中略)この本を読まれた方が、もう一歩、コケの世界へと足を踏み入れてくださることを願っています。
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Kindle版No.129

日本だけで約1800種、世界には約18000種が知られているコケ(蘚苔類)。コケをこよなく愛する人々のためのときめく図鑑。単行本(山と渓谷社)出版は2014年1月、Kindle版配信は2014年3月です。


 コケ好きによる、コケ好きのための、コケの図鑑です。どのページを開いても、フルカラーの美しいコケの写真がどーんと掲載されており、それぞれの種について詳しい紹介が記されています。正直、本書を読むまで、こんなに多種多様なコケがあるとは、というより、世の中にはコケ愛好家と呼ばれる人々がいっぱいいるのだということも、考えたことがありませんでした。


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「コケが大好き」とは言わないまでも、最近「なんだかコケのことが気になる」という人は増えてきたようです。いや、増えたというより、そんなコケ好きの要素を持つ人々が市民権を得つつあるのかもしれません。(中略)
 コケのことを知りたいと思ったら、あせらず、のんびり構えてください。そして安心してください。コケは逃げませんから。
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Kindle版No.7


 そりゃまあ、逃げたら怖いですよね。

 通読すると、コケには根がないこと、胞子・無性芽・クローンなど様々な繁殖手段を持っていることなど、はじめて学ぶことがいっぱい。そもそもコケは三種類(蘚類、苔類、ツノゴケ類)に分類されることすら知らなかったのですが、これが愛好家になると「蘚類ファン」とか「苔類ラブ」という具合に細分化されるのだそうです。

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「コケの目」には、もう少し細かくいうと2種類あります。
 それは「蘚類の目」と「苔類の目」。その姿形の違いと同じように、それらに魅入られる人のタイプも違うのです。研究者でも必ずどちらかが専門で、そうでないほうのことは、それほど詳しくないのが普通です。(中略)これはどうも、生まれつきのようです。
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Kindle版No.109


 ディープな世界だなあ……。

 もちろん図鑑ですから、珍しいあるいは面白いコケの紹介もいっぱい。


ホンモンジゴケ
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銅イオンを含む場所にばかり生えます。銅を好むのか、生存のために耐性を身に付けたのかはまだわかっていません。
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Kindle版No.14


カビゴケ
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黴のにおいがするコケです。体がとても小さいので、目ではなく、鼻を頼りにしたほうが見つけやすい、という珍しいコケです。
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Kindle版No.14


ナンジャモンジャゴケ
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もちろん、これに似たコケは他にまったく存在しません。見方によっては相変わらず「なんじゃもんじゃ」なままとも言えます。
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Kindle版No.78


 また、コケウォッチャーになるための様々なガイド(調査場所、地図や地形図の読み方、コケと間違われやすい生物、など)も掲載されており、本書を片手にすぐにコケ探しに出かけることが出来るようになっています。


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