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『SFマガジン2015年1月号 特集・円谷プロダクション×SFマガジン』(山本弘、小田雅久仁) [読書(SF)]

 SFマガジン2015年1月号は、円谷プロダクションとのコラボレーション企画として、ウルトラ世界を舞台とした短篇を3本掲載してくれました。また谷甲州さんの短篇、小田雅久仁さんの中篇〈前篇〉も掲載されました。


『多々良島ふたたび」(山本弘)
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「あの島は普通じゃない----何もかも異常なんだ」
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SFマガジン2015年1月号p.13

 怪獣無法地帯を生き延びた松井朝雄は、調査隊の一員として再び多々良島へ向かう。そこで彼が見たものは、あの事件の背後に隠されていた恐るべき真相だった。『MM9』の著者がウルトラマンに挑んだ短篇。


『宇宙からの贈りものたち』(北野勇作)
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例によって途中で夢と現の境がぐにゃぐにゃになり、それでも聞き続けるうちに自分がどこにいるのやらわからなくなってくる、というのもいつものことで
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SFマガジン2015年1月号p.42

 町内会の地区防災委員としてナメゴンを退治するはめになった青年。だが、これは現実なのか、夢なのか、それとも……。これから30分、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです。『ザリガニマン』の著者がウルトラQに挑んだ短篇。


『マウンテンピーナッツ』(小林泰三)
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もうウルトラマン辞めたい。
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SFマガジン2015年1月号p.

 希少な巨大野生動物を殺すな、直ちに捕獣を中止せよ。過激な自然保護団体と国際世論を敵に回して苦戦するウルトラマン。久野千草は迷いながらもウルトライブする。人々を救うことに「正義」はあると信じて。『AΩ 超空想科学怪奇譚』の著者がウルトラマンギンガに挑んだ短篇。


『ギルガメッシュ要塞』(谷甲州)
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 陸上戦闘の概念を一変させる画期的な新兵器だというが、具体的なことは何もわかっていなかった。それを軍の基地から盗み出して、航空宇宙軍に売りつけようというのだ。信じられないほど大胆な計画だが、成功した場合の見返りは想像もつかなかった。
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SFマガジン2015年1月号p.167

 タイタン防衛宇宙軍のガニメデ基地に潜入し、秘密兵器を盗み出せ。三人組の犯罪者チームが挑んだ危険な仕事は、彼らを予想外の運命へと導いてゆく。第1次外惑星動乱終結後を舞台とする新・航空宇宙軍史、第5話。


『長城〈前篇〉』(小田雅久仁)
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しばらくそうしていると、不意に、ある冷やかな疑念が脳裏に兆した。ひょっとしたら自分もまた長城が虚空よりひねり出した作り物の人間ではないだろうか。しかも知らぬまに何ものとも知れぬ夷狄に取り憑かれ、この身に悪と暴力への衝動を孕み、それを黒々と煮つめるように育てているのだ。
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SFマガジン2015年1月号p.273

 どこからともなく聞こえてくる「叫び」。それを聞くことの出来る者は「長城」に召集され、「夷狄」と呼ばれる得体の知れない存在に取り憑かれた人間を抹殺しなければならない。人間の悪と暴力衝動の根源に触れることで世界からはみ出し、破滅してゆく人々の姿を描くダークファンタジー中篇。デビュー作『増大派に告ぐ』を思い出させる作品で、後篇が楽しみ。


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