SSブログ

『SFマガジン2014年12月号 R・A・ラファティ生誕100年記念特集』 [読書(SF)]

 SFマガジン2014年12月号はラファティ特集ということで、短篇を三作翻訳掲載してくれました。


『聖ポリアンダー祭前夜』(R.A.ラファティ、柳下毅一郎:翻訳)
--------
 わたしたちはみな、ロイ・メガの電子的天才と、彼がインプラントした共感送信装置のおかげで、バーナビイ・シーンの古い書斎にいて、同時にラッシュライト・シアターにいた。今はちょうどいいサイズの世界だった。というのも書斎と劇場と世界は、とりあえずのあいだ、同じものになったからである。
--------
SFマガジン2014年12月号p.15

 共感送信装置により人生を演劇化された人々が巻き起こすドタバタ騒動。あまりのラファティ純度の高さゆえに、読者を厳しく峻別する一篇。


『その曲しか吹けない ----あるいは、えーと欠けてる要素っていったい全体何だったわけ?』(R.A.ラファティ、山形浩生:翻訳)
--------
 丘の向こうにはオムハカという名の土地がありますが、音楽学、郷愁民間伝承、怪獣変身のどの地図にもそんな土地は載っておりません。(中略)音楽学にも郷愁民間伝承にも怪獣変身にもハード地理学にも、情報の影のようなものしかございませんでした。
--------
SFマガジン2014年12月号p.36、37

 この世界には何か欠落しているものがある。お祭りの高等ラッパ少年の一人に選ばれたトム・ハーフシェルは、その秘密を探ろうとするが……。


『カブリート』(R.A.ラファティ、松崎健司:翻訳)
--------
すべてのカブリートが、いったいどこからやってくるのか不思議に思ったことないか。(中略)町中の市場ではどこでもカブリートが山積みね。だけど、あんたら牧場で仔山羊みたことあるか。
--------
SFマガジン2014年12月号p.44

 酒場でカブリート(仔山羊の串焼き料理)を食べているノルウェー人とアイルランド人が奇妙なホラ話を聞かされる。すべてのカブリートはいったいどこからやってくるのか、そしてこの店に入ってくる客より出て行く客の方がいつもずっと少ないのはなぜか。


タグ:SFマガジン
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ: