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『落ち合っている』(黒田育世、中津留絢香、BATIK) [ダンス]

 2014年9月7日は、夫婦で東京芸術劇場シアターイーストに行って、黒田育世さん率いるBATIKの新作公演を鑑賞しました。

 黒田育世さんと日替わりキャスト(9/7は中津留絢香さん)が、交替で二時間ぶっ続けで踊る過酷な作品。赤子のイメージ、老人のイメージ、海鳥のイメージを重ねながら、死んでしまったものへの深い悲しみが、凄絶なダンスで語られます。

 その、あまりにも痛切な悲嘆と激しい慟哭に、観ているだけで震えが走り身が凍りつきます。というか、びびった、というのが正直なところ。特に二人がそれぞれに踊る苦悶の『春の祭典』、その異様な迫力には圧倒されます。赤い照明の下で踊り続けるその姿に、魂の地獄を見せられたような心地。

 苦しい苦しい悲しい激情がいつまでもいつまでも続き……、そろそろ終わりかと思ってからが、実は長いのです。簡単には終わらない。といっても現実的な話として体力の限界というものがあるはず、必ずあるはず。

 死力を尽くして泣き叫び苦悶し身を引きちぎるようにして踊る凄絶な消耗戦、その最後の最後、すべての嘆きと絶望を潜り抜けた先で、天国のように美しいバレエを二人がユニゾンで踊るシーンは感動的。しかし、これがまた、なかなか終わらない。嬉しいというより、端的に言って、申し訳ないと謝りたい気持ちで一杯に。

[キャスト]

振付・演出: 黒田育世
音楽監督・美術: 松本じろ
出演: 中津留絢香(2014年9月7日公演)、黒田育世


タグ:黒田育世
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