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『ピュディック・アシッド』『エクスタシス』(振付:マチルド・モニエ、ジャン=フランソワ・デュルール) [ダンス]

 2013年11月09日(土)は、夫婦で彩の国埼玉芸術劇場に行ってマチルド・モニエの初期作品二本立て公演を鑑賞しました。1984年と1985年にそれぞれ初演されたもので、いずれも男女ペアで踊るデュオ作品です。どちらも上演時間25分。

 『ピュディック・アシッド』は、黒の衣装に目立つ赤いチェックのスカートをはいた男女ダンサーが踊ります。抽象ダンスですが、どこか物語(それも、しょうもない痴話喧嘩)を感じさせるところがユーモラス。

 古典バレエ的な「お約束」を、次から次へと裏切ってゆく様が心地よい作品です。

 例えば、「女性らしい」動き、「男性らしい」動きを、男女逆で踊ったり。普通は男女の親密さを示すところを、どつき、小競り合い、肘鉄、様々な喧嘩と対立の動きを取り入れてみたり。握手、抱擁といった二人の関係性を示す動きを、無意味に繰り返すことで、すっかり台無しにしたり。

 ダンサーたちの身体能力とスキルはかなりのもので、例えば跳躍の高さや姿勢など感嘆したのですが、何しろ振付に意地の悪さがしみ出ていて、テクニックの高さがむしろ滑稽さを感じさせる、というのが凄い。

 『エクスタシス』の舞台は、四隅にはこれみよがしに照明が立てられ、撮影スタジオの雰囲気を出しています。そこで男女が「劇的に」踊るという趣向。

 今度は、両名とも純白の古典バレエ風スカートをはいた上から茶色の厚手のコートを羽織って登場。「男らしさ」「女らしさ」という固定観念をからかうことに情熱を傾けているらしい。ラストでは男性ダンサーが真っ赤な口紅を塗って、塗りすぎて、ピエロみたいになってしまいます。

 1980年代半ばの観客が受けたであろう新鮮さは今となってはさほど感じられませんが、「何か新しいことをやるぜ」という若々しい息吹は確かにそこにありました。まあ、ユーモアのセンスが個人的に好みに合わない、途中で退屈してしまった、というのも正直なところですが。

[キャスト]

振付: マチルド・モニエ、ジャン=フランソワ・デュルール
出演:  ソニア・ダルボワ、ジョナタン・プランラ

[初演]

『ピュディック・アシッド』 1984年3月(ニューヨーク)
『エクスタシス』 1985年11月メゾン・ドゥ・ラ・ダンス (リヨン)

[再演]

2011年モンペリエ・ダンス・フェスティバル


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