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『謎解き超科学』(ASIOS) [読書(オカルト)]

 「かつて私が超科学にはまっていた頃、残念ながら、本書のような本には出会えませんでした。もしあの頃の自分にこの本を贈ることができたなら、もっとよく考え、違った行動を取れたかもしれません」(単行本p.6)

 ASIOS (Association for Skeptical Investigation of Supernatural : 超常現象の懐疑的調査のための会)の検証シリーズ最新作。今回は、フリーエネルギーから超光速ニュートリノまで、EM菌からホメオパシーまで、科学のようでいて実はそうでもない「超科学」の話題を取り上げて検証します。単行本(彩図社)出版は、2013年11月です。

 「本書でいう「超科学」とは、科学を装っているものの実は科学でない、いわゆるニセ科学と呼ばれるようなものから、科学では説明不可能に思える不可思議な話まで、様々な主張を指した用語です。とくに明確な定義があるわけではありません。いわゆる超常現象とは少し違った怪しい話をまとめた総称とでも思ってください」(単行本p.4)

 おなじみASIOSの謎解き本、その最新刊は、「超科学」と題して、巷に広まっている「超常現象やオカルトの範疇だとは思われてない、ちょっと怪しげな知識」を取り上げて検証してゆきます。

 「第1章 日常に潜む超科学の真相」では、電磁波による健康被害、サブリミナル効果、牛乳有害説、磁気治療、ゲルマニウムの効用、デトックス、水からの伝言、マイナスイオン、といった日常的な話題を検証します。

 何となく信じていることが多い「健康知識」がいかにあやふやであるか、場合によっては健康によかれと思ってやっていることが逆に健康被害を起こしかねないか、丁寧に解説してあります。

 「第2章 自然界に潜む超科学の真相」では、EM菌、ポールシフト、フリーエネルギー、隕石落下の危険性、百匹目の猿、動物行動による地震予知、キルリアン写真、超光速ニュートリノ、インテリジェントデザイン説、など自然科学まわりの奇説を扱います。

 「第3章 人体にまつわる超科学の真相」では、血液型性格診断、ゲーム脳、逆行催眠、母乳神話、千島学説、死者の網膜に最後に見た光景が残っているという話、人間は真空に曝されると爆発するという映画の描写は正しいか、などの話題を扱います。

 2章と3章の話題は類書やネット上でも取り上げられることが多い、いわば疑似科学の定番ネタなので、よくご存じの方も多いでしょう。個人的には、「母乳神話」と「網膜記憶」の項目が新鮮でした。

 「第4章 美容と健康にまつわる超科学の真相」では、サプリメント、健康食品、ホメオパシー、マクロビオティック、酵素栄養学、オーリングテスト、手かざし療法、といった話題を検証します。

 健康被害や金銭的損害に直結する恐れが高い話題が集まっていますので、第1章と並んで、よく読んでほしいパートです。意図的に(しかし法に触れないように)消費者を騙しにかかってくる詐欺まがいの商法もあるので、うかつに引っかからないよう、自衛のためにも一読をお勧めします。

 超常現象やオカルトの話題なら「何となく信じている」くらいなら別にかまわないんじゃないかという気もするのですが、これが美容・健康・栄養まわりのニセ科学だと直接的被害を引き起こしかねず、しかも多くの場合、子供や老人、病人など弱い立場の人々が被害者になるわけで、積極的に正しい知識を広めることが大切だと思います。

 というわけで、たとえ超常現象やオカルトに興味がなくても、本書の特に第1章と第4章、上に挙げた目次にざっと目を通して、「え、これって本当だと思ってたけど・・・」という項目があれば、とりあえず当該項目だけでも読んでみることをお勧めします。


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