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『シレンシオ』(振付・演出:小野寺修二) [ダンス]

 2013年07月07日(日)は、夫婦で東京芸術劇場に行って、小野寺修二さんの新作公演を鑑賞しました。原田知世さんと首藤康之さんが共演するというので話題になった舞台です。

 名作『空白に落ちた男』を発展させたような作品です。『空白』の出演者+原田知世、という豪華メンバー。特にストーリーはなく、次々と場面が切り替わり、小野寺流マイムとダンスが展開する80分の公演です。

 遺体と第一発見者の「担当者」が次々と入れ替わりながらもシチュエーションだけは維持されている遺体発見シーンとか、食堂で食事している小野寺さんが妙な状況に巻き込まれ焦っているうちに殺されるとか、特定アイテム(今回は額縁や帽子)を出演者が奪い合うように次々と受け渡してゆくとか、『空白に落ちた男』の断片がクリアに再現されます。

 首藤康之さんが踊るシーンが意外に多く、どれもすごくカッコいいのです。机の上で動物めいた動きをするダンスとか。『空白』にも首藤康之さんが机の上で踊るシーンがありましたが、今回は作品のシリアスな雰囲気に溶け込みながらも、思い切りよく伸びやかに動いていて、爽快でした。

 梶原暁子さんの動きも魅力的。こう、ぐっと威圧した次の瞬間かくっと片膝を折り、旋回しながらへなへなーと地面に転がりつつダンスに入る、という振付は全員(原田知世を除く)がやるのですが、梶原暁子さんの動きが一番印象的でした。彼女のダンスシーンには見とれてしまいます。あと、藤田桃子さんとの相性がよく、舞台上に二人がいるとそれだけで変なことが起きるという期待がぐいぐい盛り上がったり。

 何を考えているのかよく分からない、無表情にたたずんでいる女、という役柄を貫いた原田知世さん。他の出演者が踊っているときも、黙って立っているその不思議な存在感で、舞台全体の不条理さを際立たせてくれました。

 決して踊らず(ラストシーンでちょっとだけ)、決して歌わず(わざとクチパク熱唱シーンを入れる小野寺修二さん性格悪し)、決してしゃべらず(「しーっ」など一部を除いて、本作品はセリフなし。ときどき原田知世さんの録音音声によるセリフが効果音のように入るのみ)。原田知世さんを使って謎めいた雰囲気を作り出した小野寺修二さんの采配はお見事ですが、彼女目当てに来た観客の方々はちょっとがっかりしたかも知れません。

[キャスト]

作・演出・振付: 小野寺修二
出演: 原田知世、梶原暁子、川合ロン、藤田桃子、小野寺修二、首藤康之


タグ:小野寺修二
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