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『ちがうねん』(作:ジョン・クラッセン、訳:長谷川義史) [読書(小説・詩)]

 「このぼうし ぼくのと ちがうねん。とってきてん。おっきな さかなから とってきてん」

 名作『どこいったん』に続く、ジョン・クラッセン作、長谷川義史訳の「大阪弁翻訳絵本」その第二弾。単行本(クレヨンハウス)出版は、2012年11月です。

 「こわー、なお話をゆらゆらと訳してん」(長谷川義史) 

 とぼけた絵柄とシニカルなオチ、そして何よりも全編これ大阪弁で翻訳したということで評判になった動物絵本『どこいったん』。

    2013年01月25日の日記:『どこいったん』
    http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2013-01-25

 この翻訳が好評だったらしく、その姉妹編ともいうべき絵本が、またもや大阪弁で翻訳されました。

 『どこいったん』はお気に入りの帽子をなくしてしまった熊が主人公でしたが、本作は今度は帽子を盗んだ小魚が主人公になります。やっぱりとぼけたユーモラスな絵柄、場面はずっと暗い海の底。

 「きっと まだ ねてるわ」
 「まあ おきたとしても、ぼうしのことなんた きがつけへんわ」
 「まあ きがついたとしても、ぼくのことなんか あやしめへんわ」
 「まあ あやしんだとしても、ぼくの いきさきなんか わかれへんわ」

 という具合に、ひたすら楽観的な小魚ですが、もちろんそんなわけはなく。『どこいったん』を読んだ方ならご想像の通りのオチが待っています。相変わらずのシニカルさに、たぶんお子様たちは大喜び。

 人間の心理をうまく皮肉っているので、大人が読んでも刺激的、というか、身につまされる気が。

 「きっと うちのかいしゃは だいじょうぶやわ」
 「まあ ぎょうせきがあっかしても、りすとらはせんやろ」
 「まあ りすとらしても、ぼくはまじめやから だいじょうぶ」
 「まあ しつぎょうしても、すぐにさいしゅうしょくできるやろ」
 「たいしょくきんで、じゅうたくろーんも かんさいできるし」


タグ:絵本
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