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『DEDICATED 2012 IMAGE』(中村恩恵、首藤康之) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年10月20日(土)は、夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って、中村恩恵さんの新作公演を鑑賞しました。映像とダンスのコラボレーション作品で、映像は操上和美さん、共演は首藤康之さんです。

 首藤康之さんのソロ『Between Today and Tomorrow』と映像作品『The Afternoon of a Faun ~ニジンスキーへのオマージュ~』の後、いよいよ始まる中村恩恵さんの振付作品『WHITE ROOM』(世界初演)。

 TV画面に映る10年前の『ブラックバード』(世界的に有名なコレオグラファ、イリ・キリアンが中村恩恵さんのために振り付けた名作)の映像。その前で、現在の中村さんが卵を片手に踊ります。

 『ブラックバード』を踊ったとき懐妊していた中村さん、卵を抱えて踊る今の中村さん。この二人の「共演」により、過去と現在が鮮やかに結びつけられます。その姿、まるでかつて自分に託された『ブラックバード』から、新たな作品を産み出そうと苦しんでいるかのよう。

 しかし、ここまではすべて映像の中。舞台背景として投影されたこの映像を前に、さらに首藤康之さんが踊るのです。その後も、映像と実演を交差させながら、ブラックバードを越えるための苦悶は続きます。

 細密にして高密度、異常に解像度の高い(情報量の多い)中村さんのダンスを観ていると、背中に戦慄が走ります。内へ内へと向かうようなこの抑制のきいた中村さんのダンスと、力強く華のある首藤さんのダンス、これが実に相性抜群。たとえていうなら、焼肉にポン酢、煮込肉にシャンツァイ(パクチー)。いや、そのたとえはどうだろう。

 中村恩恵さんと首藤康之さんの共演で話題になった『Shakespeare THE SONNETS』から1年、中村恩恵さんが『ブラックバード』を踊ってから10年。この節目の年に、この二つを合わせて発展させた作品がこの世に産まれ落ちました。その場に立ち会えて良かった。

[キャスト]

『Between Today and Tomorrow』

  振付: 中村恩恵
  出演: 首藤康之

『The Afternoon of a Faun ~ニジンスキーへのオマージュ~』(映像作品)

  映像: 操上和美
  出演: 首藤康之

『WHITE ROOM』

  振付: 中村恩恵
  アドバイザー・振付: イリ・キリアン
  映像: 操上和美
  出演: 中村恩恵、首藤康之


タグ:中村恩恵
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