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『世界の心霊写真  カメラがとらえた幽霊たち、その歴史と真偽』(メルヴィン・ウィリン、木原浩勝) [読書(オカルト)]

 エクトプラズム、妖精、念写、ポルターガイスト、昇天する魂、オーラ、聖母マリア、ケルビム、階段を降りてくる白い人影、炎のなかに浮かび上がる少女の姿、監視カメラに写っていたフードを着た骸骨、首なし男、足なし女。古典から最近ネットで話題になったものまで、世界各地から67枚の不可思議な写真を集めた心霊写真集。単行本(洋泉社)出版は、2012年08月です。

 世界中(といっても多くはイギリス)で撮影された心霊写真を集めた一冊です。魂やエクトプラズムや聖母マリアが写っている(ようにも見える)写真も多く、特に心霊写真といっても幽霊系に限らず、何らかの超常現象が写っている写真、という大雑把なくくりで選ばれたと思しき67枚の写真。

 修道院の幽霊とか、霊媒師が出したエクトプラズムだとか、コティングレーの妖精写真だとか、テッド・セリオスの念写だとか、すでにインチキだと分かっていても歴史的価値がある写真は抜かりなく収録されています。怪しさで定評のあるタブロイド紙に掲載された写真なんていうのも平気で載せていますし、いつどこで誰が撮影したのかも分からない、それどころかオリジナルがなく記事のコピーしかない写真なんてのも掲載されています。真偽にこだわらず、有名どころの心霊写真を一冊に集めてみました、という感じでしょうか。

 全ての写真について、著者による解説(撮影場所、撮影日などのデータあり)とセットになっています。加えて匿名の「写真家、超常現象研究家」(誰?)への取材をもとに書かれたという日本語版の解説も一枚一枚ていねいに付されており、さらに新耳袋などで有名な木原浩勝さんが本書全体に関する解説を書き下ろす、という贅沢さ。

 日本におけるいわゆる心霊写真と同じ雰囲気の写真(例:少女の腕をつかむ謎の手、スナップショットに偶然写り込んでいた“いるはずのない”人物、など)もあれば、何だかテイストが違っていて戸惑うもの(例:浮かび上がる聖母マリア像やキリスト像、教会に現れた白い人影のたぐい、日本なら間違いなく「宇宙人の写真」と断定されるだろう「浮遊する白いヒトガタ」など)もあります。そういった文化的な差異が感じられるところも本書の魅力の一つです。

 写っている人々や場所、風景になじみが薄いせいか、正直いってそれほど怖さは感じられません。むしろ、有名な「アルダルシアの顔」(コンクリートの床に出現し、何度消しても再出現したとされる顔)の写真。他の本で何度も見たことがあるのに、やたら漫画チックで、むしろ愛嬌がある、というかいかにも子供のイタズラだなあとしか思えないのに、何だか妙に怖いのです。いまさら。

 逆にユーモラスで思わず笑ってしまったのが、「猫のティンカーベルには見えるもの」と題された一枚(単行本p.48)。キジトラ猫のティンカーベルちゃんの周囲に赤い光の帯のようなものが現れ、それに顔を引っ張られているという写真です。一瞬ひょっとこみたいな顔になっているティンカーベルちゃんの不細工顔が可愛い。隣にいる三毛猫(バンティくん)が平然と何も気にしてない様子なのがまた可笑しい。

 ネットなどでよく見かける有名写真も多数含まれていますが、撮影日や撮影状況など詳しい情報が書かれているという点で、本書を手にする価値は充分にあります。パーティなどに持っていって皆で鑑賞すれば、盛り上がること間違いなしだと思います。


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