SSブログ

『天井桟敷の人々』(ジョゼ・マルティネス振付)、『カラヴァッジョ』(ビゴンゼッティ振付、中村祥子、マラーホフ) [映像(バレエ)]

 2012年06月25日(月)午前0時より、NHK BS 『プレミアムシアター』にて、パリ・オペラ座バレエおよびベルリン国立バレエの舞台映像を放映してくれました。

 まずはパリ・オペラ座バレエ公演『天井桟敷の人々』。これはフランス映画の名作をバレエ化したもので、振付はジョゼ・マルティネスです。

 まず場面転換の鮮やかさに目を奪われます。幕を下ろさず、基本的に暗転もしません。照明を工夫しながら、大道具がするすると入れ替えられ、観客の目の前で舞台がなめらかにトランスフォームしてゆく様は何とも素晴らしい。

 この場面転換と共に効果をあげているのが、劇中劇のシーンです。舞台上に観客席を作って、登場人物たちが劇中劇を鑑賞する、というシーンが繰り返され、これが重要になります。

 登場人物がバレエ公演に出演するシーンなど、架空のバレエ団が舞台上で本当に「公演」を行い、あまつさえ終演後のカーテンコールまでやってしまい、それを観ていた登場人物が花束を投げる、といった粋な演出も。

 さらには、幕間に登場人物たちがホールの外(!)でシェークスピア劇を踊ったりします。キャストに「デズデモーナ: ミテキ・クドー」とあるのを見て、誤植かしらと思ったのですが、実はこのシーンのこと。ちなみにクドーさんのデズデモーナは素敵でした。

 こういう、こじゃれた演出には感心したのですが、肝心の振付がどうもいまひとつに感じられて残念でした。滑稽なシーンはそれなりに面白く、楽しめるのですが(特に、バンジャマン・ペッシュの大仰な表現、カロリーヌ・バンスの弾けっぷり、好きです)、シリアスなシーンになると、何だか古典バレエの動きだけで構成した気の抜けたノイマイヤー作品みたいで、退屈してしまいました。

 さて、もう一つの舞台映像は、ベルリン国立バレエ公演『カラヴァッジョ』。

 これはビゴンゼッティがベルリン国立バレエ団のために振り付けた作品で、マラーホフとポリーナ・セミオノワが中心となって、それに中村祥子さんも重要パートを踊るという豪華な舞台。

 これは以前に市販映像で観たことがあります。2010年05月27日の日記を参照して下さい。これが四十代の肉体、動きだとは到底思えないマラーホフ、そして中村祥子さんが登場するつごう三回のシーンは必見です。


NHK BS プレミアムシアター
2012年06月25日(月)【24日(日)深夜】午前0時~午前4時


パリ・オペラ座バレエ公演
バレエ『天井桟敷の人々』全2幕

[振付]
    ジョゼ・マルティネス

[出演]
    ガランス: イザベル・シアラヴォラ
    バチスト: マチュー・ガニオ
    フレデリック・ルメートル: カール・パケット
    ラスネール: バンジャマン・ペッシュ
    伯爵: クリストフ・デュケンヌ
    ナタリー: ミュリエル・ズスペルギー
    マダム・エルミーヌ: カロリーヌ・バンス
    バレリーナ: ノルウェン・ダニエル
    デズデモーナ: ミテキ・クドー
    パリ・オペラ座バレエ団

[音楽]
    マルク・オリヴィエ・デュパン作曲
    ジャン・フランソワ・ヴェルディエ指揮、パリ・オペラ座管弦楽団

[美術]
    エツィオ・トフォルッティ

[衣装]
    アニエス・ルテステュ

[照明]
    アンドレ・ディオ

[収録]
    2011年7月6日、9日。パリ・オペラ座ガルニエ宮。


ベルリン国立バレエ団公演
バレエ『カラヴァッジョ』

[振付]
    マウロ・ビゴンゼッティ

[出演]
    ウラディーミル・マラーホフ
    ポリーナ・セミオノワ
    ベアトリス・クノップ
    ミハイル・カニスキン
    ドミートリ・セミオノフ
    エリサ・カリッリョ・カブレラ
    中村祥子
    ミヒャエル・バンジャフ
    レオナルド・ヤコヴィーナ

[音楽]
    ブルーノ・モレッティ(原曲:モンテヴェルディ)
    ポール・コネリー指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団

[衣装]
    クリストファー・ミラー、ロイス・スワンデル

[照明・装置]
    カルロ・チェッリ

[収録]
    2008年12月。ベルリン国立歌劇場。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇