SSブログ

『幸福オンザ道路』(矢内原美邦) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 先週の土曜日(2012年03月24日)は、夫婦で横浜赤レンガ倉庫に行ってミクニヤナイハラプロジェクトvol.6『幸福オンザ道路』を観てきました。『前向き!タイモン』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞した矢内原美邦さんの最新作です。

 例によって、常に複数の主演者が踊りながら早口でしゃべりまくります。いきなり絶叫し、ぶっ倒れ、比喩でなく全力疾走する、狂躁的な舞台。「駆け足!」の号令で全員その場でわめきながら猛烈な足踏みをさせられたり。

 体力的に追い込まれながらも、長セリフを息も切らさず正確に発声することを要求される出演者たちの限界っぷり。ノンストップで狂躁感が続く舞台に、観客もぐったり。色々な意味で疲れる作品です。

 セリフと踊りはほぼ無関係、というより、絶叫含め発話もダンス振付の一部となっていて、身体の動きだけ見るとけっこう普通にダンスしてたり、しかも意外にかっこいい動きだったりするのですが、これが妙なセリフと重なることで、何とも味のある変なパフォーマンスになってしまうところが絶妙。ゼッキョーはダンスだ。

 またフォーメーション変化が素晴らしい。出演者が長ゼリフを口にしながら次々と位置を変えてゆき、また柵を移動させて舞台構成を変えてゆきます。目まぐるしく変化する群舞の形には、何だかぐっとくるものがあります。

 今作では映像投影がありませんでしたが、舞台の片隅に大型テレビをつけっぱなしで置いて、そこにニブロール的なCGI映像が流れ続けるところに、こだわりを感じます。出番を待つ出演者たちが(さすがに交替で休憩する必要があります)その前に座ってじっと終末風景的な画面を見つめているなど、ちょっと不安を感じさせる演出にも使われていたり。

 会場では、岸田賞を受賞した前作『前向き!タイモン』のDVDを売っていたので購入しました。

[キャスト]

作・演出・振付: 矢内原美邦
出演: 光瀬指絵、鈴木将一朗、NIWA、守美樹、柴田雄平、たにぐちいくこ、米田沙織


タグ:矢内原美邦
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇