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『アリア』(ジル・ロマン振付)、『80分間世界一周』(モーリス・ベジャール振付)、『ダフニスとクロエ』(ジャン・クリストフ・マイヨー振付)、『シェエラザード』(ジャン・クリストフ・マイヨー振付) [映像(コンテンポラリーダンス)]

 7月のNHK BS プレミアムシアターは、「ダンス特集」ということで、7月16日の23時30分から翌日3時30分まで、モーリス・ベジャール・バレエ団の公演を二本、モナコ公国モンテカルロ・バレエ団の公演を二本、計4本を放映。録画しておいてやっと鑑賞しました。

 まずは、ベジャールの衣鉢を継いだジル・ロマン振付の『アリア』。

 ミノタウルスの姿に託して人の奥底に潜む獣性を描いたと思しき作品で、そのクールな演出と妙な滑稽さがほどよく調和しており、感心させられます。変に演出に頼らず、がんがん踊らせるところも素敵。ジル・ロマンの作品を観るのははじめてですが、けっこう気に入りました。

 次は、ベジャールの遺作『80分間世界一周』で、これはベジャール作品に影響を与えた各国のダンスを次々と披露しながら、ベジャールの人生を回顧するという楽しい作品。この舞台、以前に市販映像を観たときに感想を書いてます。詳しくは2009年03月15日の日記を参照して下さい。

 そして、ジャン・クリストフ・マイヨー振付によるモンテカルロ・バレエ団の『ダフニスとクロエ』と『シェエラザード』。バレエ・リュス演目の再振付なんだそうですが、何というか、最初から最後まで、男女入り乱れてひたすらいちゃつくだけ、という油断すると脳捻転を引き起こしかねないお馬鹿な舞台。

 ラヴェルの名曲が流れるなか、ダフニスとクロエが互いを見つめ合う。古典バレエのような美しい光景ですが、しかしその背景のスクリーンに二人の脳裏で展開している妄想(裸体ですよもちろん)が映し出されてしまう。

 リムスキー・コルサコフの名曲が流れるなか、女主人と戯れる金の奴隷は、股間から手をつき出してぴょんぴょん跳びはねるし。

 以前に市販映像で『シンデレラ』を観たときも思ったのですが、マイヨーの作品は楽しく、セクシーで、お馬鹿。全体的にやりすぎ感が強く、官能的なシーンも即物的すぎて思わず笑いが出てしまう(狙ってるのがありあり)、下品になる半歩手前で何とか美しさを保っているという感じ。どこかうっすらと狂気が漂っているような気がするのも印象的。

 シャープなダンス、華麗で目にも鮮やかな群舞、誰にでも分かり易いシンプルで効果的な演出。全体のレベルが高いので、お馬鹿エロが目立って笑いを誘ってしまうという、好みがあえばハマるに違いない作風ではないでしょうか。

『アリア』

振付: ジル・ロマン
出演: フリオ・アロザレーナ、ジュリアン・ファブロー、エリザベット・ロス、カトリーヌ・ズアナバール、ダリア・イワノワ、ダフニ・モイアッシ、シャルル・フェルー
収録: 2009年5月、ローザンヌ・ボーリュ劇場

『80分間世界一周』

振付: モーリス・ベジャール
出演: ジル・ロマン、エティエンヌ・ベシャール、カトリーヌ・ズアナバール、ダリア・イワノワ、ダヴィッド・クピンスキー、ジュリアン・ファヴロー、レアーヌ・コドリントン、エリザベット・ロス、ジュリアーノ・カルドーネ、ダフニ・モイアッシ、ドメニコ・ルヴレ、カテリーナ・シャルキナ、オスカー・シャコン、アレッサンドロ・スキアッタレッラ、那須野圭右、オクタヴィオ・デ・ラ・ローサ、マーティン・ヴェデル、エミール・デルベ、フリオ・アロザレーナほか、ルードラ・ベジャール・バレエ学校の生徒たち
収録: 2008年2月、パレ・デ・スポール

『ダフニスとクロエ』

振付: ジャン・クリストフ・マイヨー
出演: アンハラ・バジェステロス、ジェローン・ヴェルブルジャン、ベルニス・コピエテルス、クリス・ローラント
収録: 2010年11月6日、モンテカルロ歌劇場

『シェエラザード』

振付: ジャン・クリストフ・マイヨー
出演: ベルニス・コピエテルス、ジェローム・マルシャン、レアルト・デュラク、オリヴィエ・ルセア、アレクシス・オリヴェイラ、ジェオルジェ・オリヴェイラ、ステファン・ボルゴン、ジェローン・ヴェルブルジャン、クリス・ローラント、アシエ・ウリアゼレカ、小池ミモザ、エロディ・プナ、キャロリン・ローズ
収録: 2010年11月10日、モンテカルロ歌劇場


タグ:ベジャール
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