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『THIS IS WEATHER NEWS』(矢内原美邦、Nibroll/ニブロール) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 昨日(2011年7月3日)は、矢内原美邦さんが振付演出したニブロールの新作(昨年初演)を観るために、夫婦で三軒茶屋のシアタートラムに行ってきました。

 ごく狭い舞台の床には真っ赤なハイヒールが山ほど転がっており、観客席から向かって右手奥に映像用スクリーンが立ててある。シンプルな舞台です。いきなり赤い靴の雨が降るに違いないという予感に襲われますが、そうなるのは後半になってから。

 ダンサーたちがひたすら踊り、いきなりゼッキョーし、マイクを持って追いかけ回したり、卒倒したり、わめいたり、ものを投げたり、他人を引きずり回したり、ハイテンションの限りを尽くします。背後のスクリーンに投影された、激突して砕け散るオブジェクトのイメージなど、不穏な映像と微妙にシンクロしたりしなかったり。

 映像とダンスと音響(ノイズ)が一体となって、何やらヤバいことが既に起きてしまって何だか分からないけど追い詰められつつあるというか実はもう終わっちゃってるんじゃないか感がひたひたと伝わってきます。昨年初演された作品だと知らなければ、時事ネタかと思ってしまいそう。

 後半、色々とあったのを隠してなかったことにしてしまうかのように巨大な白い布が舞台に広げられ、それまで背景スクリーンに投影されていた映像が舞台全体に拡がります。というか、ダンサーたちと共に舞台が映像に取り込まれた感じ。ダンスと映像が文字通り一体化します。ここ、強烈なトリップ感がありました。すげえ。

 衝動的かつ暴力的な雰囲気の果てに白一色の静謐な舞台になるのは、これは滅びのイメージなのかなあと思いつつ、個人的に『あしたのジョー』を連想してしまったり。

 というわけで、映像とダンスの組み合わせが実に巧みで、次に何が飛び出るか最後までわくわくさせられる舞台でした。逆に、映像がなくダンス/演劇だけのシーンはちょっと退屈してしまいましたけど。


『THIS IS WEATHER NEWS』(ニブロール)
2011年7月3日、シアタートラムにて鑑賞。

構成・演出: 矢内原美邦、高橋啓祐、矢内原充志、スカンク、伊藤剛
出演: カスヤマリコ、橋本規靖、鈴木拓朗、福島彩子、菊沢将憲


タグ:矢内原美邦
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