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『金の言いまつがい』(糸井重里 監修) [読書(教養)]

 「ほぼ日刊イトイ新聞」に投稿されたネタを集めた『言いまつがい』。その続編が金銀二冊そろって文庫化されました。単行本(東京糸井重里事務所)出版は2006年12月、私が読んだ文庫版(新潮社)は2011年5月に出版。

 誰しも心当たりのある、ついうっかりやってしまう、歳をとると増えてくるような気がする、それが「言いまつがい」。それは何かというと、まあこんな感じ。

 タイトルが思い出せなくて、とっさに口にした「デメロン・ギャオスが出てる映画」。台風の中心気圧「920オクトパスカル」。うろ覚えの歌詞は「ローリングばやしにふえたいこ」。スポーツ選手を褒めたたえて「世界でも3本の指が入る選手」。両親からは「自由放牧に育てられました」。

 女の野心を語って「腰の玉に乗る」。スタイルを褒めて「ウエストがきゅっとくたびれてる」。忠告しようとして「ブスの素人には無理ですよ」。自らの境遇を「不幸な橋の下に生まれた」と語って不憫さ倍増。結婚式の式辞で「このように立派な人面結婚式」と口走って。衣類用柔軟剤「ハミング1/3」をお探しのお客様にご案内「サミング半分の1」はこちらです。

 「地獄の雑炊」(地鶏)、「ナースの肉詰め」(ナス)、「サタンの塩焼き」(牛タン)、「しにんのひらき」(ニシン)、「親指のつくね」(付け根)などのホラーシリーズ、「たつのおしごと」、「がらむしやに働く」、「狛犬のように働く」などの仕事シリーズにも味わい深いものがあります。

 さらには「言いまつがい」のレベルを超えた発言の数々も。

 楽器を見て「あ、これアラスカだ」と言った友人。もしかして「マラカス」と言いたかったでしょうか。でも、それはオカリナです。

 「ウーピー・ゴールドバーグ」がとっさに出なくて、代わりに口にしたのが「キューピーコーワゴールド」。

 海外にて、とっさに「アイム・ソーリー」と謝ろうとして口から出た「ソリません」。

 締め切り間際に出た「1日が24時間ならいいのに!」というギリギリの叫び。

 350ページ近い分量にこういうネタがぎっしり。たぶんネタ数は1000くらいになるはず。笑える人と笑えない人の落差が激しいので、ここまで読んで一つも笑えなかった方は、おそらく本書に縁はないものと思われます。

 最後になりましたが、個人的になぜか最も気に入った「言いまつがい」をここで発表させて頂きます。「蓼食うムシムシも好き」。


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