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『経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ 増補改訂版』(池上彰) [読書(随筆)]

 タイトルそのまんま。そもそも「株」って何? 「リーマン・ショック」って? 「年金」って破綻するの? なぜ「税金」をとられるの? というレベルの疑問を持つ人がこっそり読む解説本。単行本(海竜社)の出版は2004年1月、私が読んだ増補改訂版は2009年12月に出版されています。

 昨日の日記にも書きましたが、四元康祐さんの第一詩集『笑うバグ』(現在は『四元康祐詩集』に全編収録)においては、資本資産評価モデル(CAPM)、オプション取引、投資回収率、リグレッション分析、鞘取り売買、キャッシュフロー、リスクフリーレート、といったわけの分からない言葉が乱舞しています。

 たぶん経済用語、それも金融取引にかかわる言葉なんだろうな、というあたりまでは想像できますが、ではどういう意味かと聞かれたら、これがさっぱり。あくまで詩の言葉なので、必ずしも本来の意味が分からないといけないわけではないでしょうが、やっぱり知っていて読んだ方が面白いのではないか、分からずに読んでいる私は損をしているのではないか、という懸念が振り払えません。

 そこで、とりあえず最も簡単そうな経済の本を読んでみました。それが本書です。タイトルからして「まさにワタシのための一冊」という気になるではありませんか。(だから売れたらしい)

 全体は、「買う」、「投資する」、「借りる」、「世の中をつかむ」、「備える」というように「読者が何をしたいか、何が気になるか」という観点で分類されており、買物、株式投資、クレジットカード、銀行、保険、税金、年金、といった身近なことが分かりやすく解説されています。記述は極めて平易、とにかく分かりやすさ優先です。

 2009年に出版された増補改訂版では、リーマン・ブラザーズ経営破綻から世界金融危機が生じた経緯、社会保険庁が引き起こした「消えた年金記録問題」、など最近の話題が解説されています。

 私たちの生活が「経済」という大きな流れと深く関係していること、自分がどのような人生を送りたいのかを主体的に選択することこそが経済に参加する基本だということ、そういったメッセージが力強く伝わってきます。そこが良かった。

 ただし、四元康祐さんの詩を読む上ではまったく役に立ちませんでした。後から考えたら、そもそも解説書の選択を間違えてた。


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