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『名詩の絵本II』(川口晴美:編) [読書(小説・詩)]

 教科書で、絵本で、唱歌で。誰もがいつか読んだ覚えのある有名な詩を100篇集めた名詩アンソロジー、その第二弾。全てのページに詩の内容や雰囲気をイメージさせるイラストや写真が掲載された、文庫サイズの詩集です。文庫版(ナツメ社)出版は2010年12月。

 前作が好評だったのか、同じコンセプトで続編が出版されました。定番というべき著名な詩歌に、心なごませるイラストや写真を満載したフルカラーの絵本。例えば次のような有名フレーズを含む詩が100篇も収録されています。

  「一杯のコーヒーから/夢の花咲くこともある」

  「月の沙漠を、はるばると/旅の駱駝がゆきました。」

  「雨ニモマケズ/風ニモマケズ」

  「きつぱりと冬が来た」

  「きづなは地にあこがれは空に」

  「汚れつちまつた悲しみに/今日も小雪の降りかかる」

  「春高樓の花の宴/めぐる杯影さして」

  「薔薇ノ木ニ/薔薇ノ花サク。」

  「名も知らぬ遠き島より/流れ寄る椰子の実一つ」

  「夏が来れば 思い出す/はるかな尾瀬 遠い空」

  「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る」

  「酒は唇よりきたり/恋は眼より入る。」

 誰もが知っている名フレーズの数々ですが、作者と作品名を正しく答えられるでしょうか。私は本書ではじめて全文を読んで、おなじみのフレーズから漠然と想像していたイメージとの違いに何度も驚きました。やはりちゃんと読んでおかないと駄目ですね。というか、子供の頃にきちんと読んでおけばよかった。

 というわけで、定番というか、もはや常識、“いまさら”観の強い名詩を律儀に集めたアンソロジーというのは意外にないような気がするので、気軽に手にとれる本書の存在はとても助かります。さらに、ハードカバーでありながら文庫サイズで、どこにでも持ち歩けるコンパクトさ。教養本として、人生に疲れてしまったときに、引用元を探しているとき、さらには贈り物として、前作と合わせて二冊、どなたにもお勧めできる素敵な詩の絵本です。


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