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『あらかじめ』(小野寺修二、カンパニーデラシネラ) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 小野寺修二ひきいるカンパニーデラシネラ作品『あらかじめ』を観るために、夫婦で青山円形劇場に行ってきました。2009年初演作品(2009 年03月28日の日記参照)の再演というかリニューアル上演です。出演者は、有川マコトさんが中山祐一朗さんに代わりましたが、他の四名は初演時と同じ。振付・演出はもちろん小野寺修二さん。

 円形劇場なので、360度ぐるりと客席が取り巻き、あらゆる角度から見られることを想定した作品となっています。芝生を模した丸い舞台上には、机や椅子、鞄や帽子、様々な乗物玩具など数多くの小道具が散らばっており、まるでオモチャ箱をひっくり返したような雰囲気。場所がら就学前の児童も観劇 OKで、親子づれで来たと思しき観客も多く、子供たちの声が響きます。

 そこに登場した小野寺修二さん。おもむろに「被災された方々に哀悼の意を表します。そして今日ここに来てくださった方、ありがとうございました。がんばります!」と前口上を述べて下がり、こちらも身が引き締まる思い。

 作品そのものは、初演時とそう大差はないような印象でした。いくつか新しいと感じるシーケンスもありましたが、これは記憶から漏れていただけかも知れません。基本的にマイム作品で、出演者たちの見事にシンクロした動きがかみ合って、奇妙なおかしさが醸し出されます。

 いずれにせよ明確なストーリーやロジカルな展開はなく、全体的に「夢」の雰囲気を強く漂わせています。唐突かつ奇抜な場面展開などいかにも夢っぽく、おそらく五人分の夢をミックスしたものでしょう。

 奇妙なマイムが続き、乗物玩具を使ったシーンも多いので、子供たちもけっこう面白がり、ウケていたのが印象的です。子供たちって、いい年した大人が大真面目な顔で馬鹿なことをやるの大好きだよね。

 さすがに私たちは初演時に観ているので次にどう展開するのか予想がつき、おかげで出演者たちの「動き」を観ることに集中できました。きびきびとした流れるような、それでいて鋭い動きには魅了されます。特に何の「見立て」というわけでもなく全員で動き回るシーンなど、コンテンポラリーダンス作品としても素晴らしい。気持ちよい群舞です。

 というわけで、マイム、演劇、ダンスなどの要素を組み合わせて、夢というものが持っている奇妙なあの感じを見事に表現した舞台です。3月20日、21日まで公演予定がありますので、気になる方は、今からでも間に合いますので、どうかご覧ください。

[キャスト] 

作、演出: 小野寺修二(カンパニーデラシネラ)
出演: 佐藤亮介、中山祐一朗、藤田桃子、宮下今日子、小野寺修二


タグ:小野寺修二
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