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『Down Beat 20号』(柴田千晶、小川三郎、他) [読書(小説・詩)]

 詩誌『Down Beat』の20号を紹介いたします。


[Down Beat 20号 目次]
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『もの思う葦』(小川三郎)
『ひと切れのパン』(金井雄二)
『ぺらぺら』(柴田千晶)
『春のはじめ』(谷口鳥子)
『油おんな』『空樽問屋』(廿楽順治)
『岬観光ホテル』(徳広康代)
『黒』(中島悦子)
『まがり』(今鹿仙)
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  詩誌Down Beat
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そうは言っても
やっぱり私は
馬がいい。

パイプをくわえて青空の下を
走ることなく
ゆっくり歩く
まじめな顔をした馬がいい。

片目はつぶれていても構わない。
歯も抜けていても構わない。

だけど耳は
ピンと立っていて
私という馬がいるだけで
ただそれだけで
天気が変わってしまうくらいの
馬がいい。

明日はもう春か。
――――
『もの思う葦』(小川三郎)より




――――
女房は化けそこなったまま
おやじの腹をえぐりに
昨日の居酒屋へでかけていった

どこかに
耳の数の減った
しずかな男はいないかい

それがじぶんの数だと
どうしても気づかない
空樽はいないかい

数のあわない
平凡なやつはいないかい
――――
『空樽問屋』(廿楽順治)より




――――
私は、地下鉄に乗る度に、スマホをいじっている全車両の人々とその街に行ってしまうのではないかと恐れることがありました。本当は、時空が繋がっているはずのその街の凄惨さは、地下を通してふりかかってくる‥‥。でも、階段を上がれば緑の木々に包まれて、幻想だったにすぎません。テレビの画面では、いつもその領土が分かりやすく二次元の明るい色で単純に表されていました。本当は、血と埃の色です。

黒にねじこまれた。ひりひりとした盲目。それが今やっと分かります。
――――
『黒』(中島悦子)





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