『ゼロから学ぶ量子力学 普及版 量子世界への、はじめの一歩』(竹内薫) [読書(サイエンス)]
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量子力学という分野は、一見、半世紀以上前の古い理論というイメージが強いのだが、今日でもなお、世界の最先端の論文として発表が続いている活気ある分野なのだ。また、世界中の数理物理学者たちが血眼になって追い求めている量子重力理論だって、その基礎には、やはり、量子力学がある。エンジニアだけでなく、物理や化学を専門的に勉強する人にとっても必須の知識であることはいうまでもない。
この本では、ゼロからはじめて、量子力学のおぼろげな全体像をつかんでもらうように努力したつもりだ。ちょっと数式が多かったかもしれないが、途中を省略せずに、できるだけ導出を書いたつもりだ。だから、最初は飛ばしてしまった箇所も、後から1行ずつ追ってご覧になれば、きっと、わかるにちがいない。
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単行本p.273
量子力学の教科書を読む前にざっと全体像を把握しておきたいという読者のための入門書。単行本(講談社)出版は2022年3月。ちなみに旧版の出版は2001年4月です。
「ゼロから学ぶ」というタイトルですが、それはあくまで量子力学についてゼロから学ぶということであって、数式は容赦なく出てきます。シュレーディンガー方程式も解きます。複素数の偏微分方程式の扱いくらいは予備知識として知っておいたほうがいいかも知れません。
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うーむ、わからん。ゼロから学んでいるのに、この本には、数式がバンバン出てくるではないか。
まあ、数式を使わないというのもわかりやすさかもしれないが、数式を使って、その数式をちゃんと説明する、というのもわかりやすさだと僕は思うのである。
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単行本p.159
目次
第1章 まずは前菜からどうぞーゼロから不確定性原理まで
第2章 メインディッシュへと進むー挑戦!シュレディンガー方程式
第3章 デザートで口なおしをするー量子論余話
第4章 レストランを出たあとでー行列、大活躍!
第1章 まずは前菜からどうぞーゼロから不確定性原理まで
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この本は、
・生まれてはじめて力学ならぬ量子力学の世界を覗いてみようという好奇心旺盛な高校生から、
・学生時代に方程式の解き方は教わったが、頭に霞がかかったみたいで本当の意味が理解できなかったエンジニアの方々、そして、
・大学の演習の時間に、ふと、「でも、これってどういう意味なの?」という疑問を抱きつつ、先生にも同級生にも質問できないで悶々としている現役大学生……
こういった人々に読んでもらおうと思って書いた。
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単行本p.22
まずは量子力学の基本的なイメージ、シュレーディンガー方程式、不確定性原理、マクロな世界との関係、といった話題から始めます。
第2章 メインディッシュへと進むー挑戦!シュレディンガー方程式
――――
そもそも、量子力学が「何」かというのは説明が難しい。その理由の1つは、シュレディンガー流に微分方程式を解く流儀と、ハイゼンベルク流に行列の演算をする流儀が、一見、まったく別のことをやっているように見えるからだ。これは、おおまかにいえば、解析学でやるか、代数学でやるか、ということにほかならない。
現実には、この2つの流儀に共通する抽象的な部分が、量子力学の本質なのであって、その本質を、どう見せるかは、趣味の問題でしかない。実際、現代数理物理学や素粒子論の最先端では、第3の流儀である「ファインマンの経路積分」というものを使うことがほとんどであり、シュレディンガー流とハイゼンベルク流は、どちらかというとナツメロ調というイメージのほうが強い。
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単行本p.175
1次元の有限長の「箱」に入った粒子、調和振動子、水素原子の構造、トンネル効果。いよいよ実際にシュレーディンガー方程式を解いてみます。
第3章 デザートで口なおしをするー量子論余話
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量子力学を深く理解するためには、ディラックの教科書を読むのが一番だといわれる。量子力学のバイブルというわけである。それは今でも変わらない。
なぜ、ディラックの教科書がいいのか?
それは、デュラックの教科書が量子力学の「根本精神」をとらえているからにほかならない。
さて、そのディラックの精神にちょっとでも近づくために、「ディラックの記法」と呼ばれるものを導入する。これは、初歩的な教科書にはあまり出てこないが、おそらく、量子コンピュータの本にはたくさん出てくるし、原理的な話をするのには便利で欠かせない。
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単行本p.195
シュレーディンガー方程式をいじくることがすなわち量子力学だと思われても困る。というわけで、ディラック記法からはじまって、ボームの量子ポテンシャル、量子からみあい、ベルの不等式、そしてこの話題は外せないでしょう「シュレーディンガーの猫」まで色々と解説します。
第4章 レストランを出たあとでー行列、大活躍!
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とりあえずは、「ゼロから学ぶ」のに必要かつ充分な部分は、本文で完結するようにしたつもりです。ですが、僕も文筆家のはしくれなので、そこはそれ、独自の「こだわり」というものが、どうしてもあって、たとえ難解であっても、読者に伝えたいことは本からはずしたくない!
というわけで、本が完成間近の局面になってから、僕のわがままを通してもらって、「難しいけれどホントは面白いこと」を最後のつけたしとして挿入させてもらうことにしました。
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単行本p.235
ハイゼンベルク行列力学と場の量子論。難しくてもここは省きたくない、というポイントを最後に解説します。
量子力学という分野は、一見、半世紀以上前の古い理論というイメージが強いのだが、今日でもなお、世界の最先端の論文として発表が続いている活気ある分野なのだ。また、世界中の数理物理学者たちが血眼になって追い求めている量子重力理論だって、その基礎には、やはり、量子力学がある。エンジニアだけでなく、物理や化学を専門的に勉強する人にとっても必須の知識であることはいうまでもない。
この本では、ゼロからはじめて、量子力学のおぼろげな全体像をつかんでもらうように努力したつもりだ。ちょっと数式が多かったかもしれないが、途中を省略せずに、できるだけ導出を書いたつもりだ。だから、最初は飛ばしてしまった箇所も、後から1行ずつ追ってご覧になれば、きっと、わかるにちがいない。
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単行本p.273
量子力学の教科書を読む前にざっと全体像を把握しておきたいという読者のための入門書。単行本(講談社)出版は2022年3月。ちなみに旧版の出版は2001年4月です。
「ゼロから学ぶ」というタイトルですが、それはあくまで量子力学についてゼロから学ぶということであって、数式は容赦なく出てきます。シュレーディンガー方程式も解きます。複素数の偏微分方程式の扱いくらいは予備知識として知っておいたほうがいいかも知れません。
――――
うーむ、わからん。ゼロから学んでいるのに、この本には、数式がバンバン出てくるではないか。
まあ、数式を使わないというのもわかりやすさかもしれないが、数式を使って、その数式をちゃんと説明する、というのもわかりやすさだと僕は思うのである。
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単行本p.159
目次
第1章 まずは前菜からどうぞーゼロから不確定性原理まで
第2章 メインディッシュへと進むー挑戦!シュレディンガー方程式
第3章 デザートで口なおしをするー量子論余話
第4章 レストランを出たあとでー行列、大活躍!
第1章 まずは前菜からどうぞーゼロから不確定性原理まで
――――
この本は、
・生まれてはじめて力学ならぬ量子力学の世界を覗いてみようという好奇心旺盛な高校生から、
・学生時代に方程式の解き方は教わったが、頭に霞がかかったみたいで本当の意味が理解できなかったエンジニアの方々、そして、
・大学の演習の時間に、ふと、「でも、これってどういう意味なの?」という疑問を抱きつつ、先生にも同級生にも質問できないで悶々としている現役大学生……
こういった人々に読んでもらおうと思って書いた。
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単行本p.22
まずは量子力学の基本的なイメージ、シュレーディンガー方程式、不確定性原理、マクロな世界との関係、といった話題から始めます。
第2章 メインディッシュへと進むー挑戦!シュレディンガー方程式
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そもそも、量子力学が「何」かというのは説明が難しい。その理由の1つは、シュレディンガー流に微分方程式を解く流儀と、ハイゼンベルク流に行列の演算をする流儀が、一見、まったく別のことをやっているように見えるからだ。これは、おおまかにいえば、解析学でやるか、代数学でやるか、ということにほかならない。
現実には、この2つの流儀に共通する抽象的な部分が、量子力学の本質なのであって、その本質を、どう見せるかは、趣味の問題でしかない。実際、現代数理物理学や素粒子論の最先端では、第3の流儀である「ファインマンの経路積分」というものを使うことがほとんどであり、シュレディンガー流とハイゼンベルク流は、どちらかというとナツメロ調というイメージのほうが強い。
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単行本p.175
1次元の有限長の「箱」に入った粒子、調和振動子、水素原子の構造、トンネル効果。いよいよ実際にシュレーディンガー方程式を解いてみます。
第3章 デザートで口なおしをするー量子論余話
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量子力学を深く理解するためには、ディラックの教科書を読むのが一番だといわれる。量子力学のバイブルというわけである。それは今でも変わらない。
なぜ、ディラックの教科書がいいのか?
それは、デュラックの教科書が量子力学の「根本精神」をとらえているからにほかならない。
さて、そのディラックの精神にちょっとでも近づくために、「ディラックの記法」と呼ばれるものを導入する。これは、初歩的な教科書にはあまり出てこないが、おそらく、量子コンピュータの本にはたくさん出てくるし、原理的な話をするのには便利で欠かせない。
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単行本p.195
シュレーディンガー方程式をいじくることがすなわち量子力学だと思われても困る。というわけで、ディラック記法からはじまって、ボームの量子ポテンシャル、量子からみあい、ベルの不等式、そしてこの話題は外せないでしょう「シュレーディンガーの猫」まで色々と解説します。
第4章 レストランを出たあとでー行列、大活躍!
――――
とりあえずは、「ゼロから学ぶ」のに必要かつ充分な部分は、本文で完結するようにしたつもりです。ですが、僕も文筆家のはしくれなので、そこはそれ、独自の「こだわり」というものが、どうしてもあって、たとえ難解であっても、読者に伝えたいことは本からはずしたくない!
というわけで、本が完成間近の局面になってから、僕のわがままを通してもらって、「難しいけれどホントは面白いこと」を最後のつけたしとして挿入させてもらうことにしました。
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単行本p.235
ハイゼンベルク行列力学と場の量子論。難しくてもここは省きたくない、というポイントを最後に解説します。
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