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『Down Beat 18号』(柴田千晶、小川三郎、他) [読書(小説・詩)]

 詩誌『Down Beat』の18号を紹介いたします。


[Down Beat 18号 目次]
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『Windowless』(中島悦子)
『おぼえられない』(今鹿仙)
『呼吸』『日課』(小川三郎)
『老いのみきわめ 1・2』(金井雄二)
『うしろの森』(柴田千晶)
『パンプス』『いかれるれいぞうこ』(谷口鳥子)
『狸谷山不動尊』『商売』(廿楽順治)
『出入口管理所』(徳広康代)
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お問い合わせは、次のフェイスブックページまで。

  詩誌Down Beat
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窓がない鶏舎。密度150%の中では、目も見えず、つつき合いもしない。羽ばたくこともできない。すでにそのように品種改良されたということだ。病原性大腸菌症、マイコプラズマ、O78予防のために死ぬ直前まで抗生剤漬けになり、自分が何に生まれたか確かめる術はない。自分の腹の下敷きになって死んだものが、何であったのかも知らない。

しばしば 鶏にすることは人間にもする

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『Windowless』(中島悦子)より


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真昼の空を
飛行機が真横に飛んでいた。

こんな日は
なにもかもを知らぬふりだ。

幸福がなにかということを
たぶん私は知っている。
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『日課』(小川三郎)より


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氷はとけてケースの底に固まって
シンクでひっくり返すと四角い皿
暑い夏でした

のっぴきならない顔して
扉の隅のLEDを指差し
か か 火事になる ど どないしょ

カニコロッケ ケーキ キーマカレー
レシピはナイショやって母さん言うからあたし、
どれも作られへん

水だす 手ぇ洗う
角とれ小さくなってる氷の皿 ピキと割、れる うしろで
ぶるぅん うなりだす
――――
『いかれるれいぞうこ』(谷口鳥子)より


――――
水屋

水と言われるものは、いったい何でできているかご存じか。そう口上を述べた後に、決まって男は姿を消してみせた。あ、ご存じない。こりゃまた失礼。あたりは水びたし。懐に銭がないと気づくのは半時もしてからだ。ああやけに喉が渇く。客もわたしもこの文から不本意に消えているが、それも余韻。水というのはつまりはお客さんの隠語でしてね。
――――
『商売』(廿楽順治)より





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