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『ねこは るすばん』(町田尚子) [読書(小説・詩)]

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ねこ、きょうというひを まんきつ。
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 飼い主が出掛けている間、ねこは、るすばん。とおもいきや……。
 思ったより充実している猫のるすばん生活を魅力的な絵で描いた絵本。単行本(ほるぷ出版)出版は2020年9月です。


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ひまでいいねと いわれるけれど、
ねこの るすばん、いそがしい。
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 名前は明記されていませんが、たぶん多くの読者が迷わずマイケルと呼ぶであろう、そんな図太そうだがちょっと間の抜けた感じの茶虎オス猫。飼い主が留守の間に出掛けてゆき、喫茶店に立ち寄り、散髪(毛繕いのプロがなめなめして毛を整えてくれる)、書店に行って本の角ですりすり、映画館でしっぽふくらませ、寿司屋では「ちゅうトロ、さびぬきでね」。一日を満喫して、日が暮れる頃に急いで自宅に戻って、何食わぬ顔で飼い主をお出迎え。

 とにかく絵が素晴らしい。擬人化やキャラクター化は控えめで、あくまでリアルな猫の姿を描いています。そのリアル猫がリアルなままバッティングセンターでバットを構えたりする(しかも顔が真剣)のだから思わず笑ってしまいます。やっぱりおしぼりで顔拭くんだー、とか、ブランコに腰掛けるとき尻尾はこうするのかー、とか。

 最初と最後の部屋の様子を見比べると、この物語はリアル猫の留守番をリアルな猫視点で描いた、というか猫の脳内風景を表現したものだということが分かり、猫飼いならきっとニヤリとするに違いありません。猫が主人公となる絵本は数多くありますが、猫がリアルで魅力的という点で本書はイチオシです。素敵です。





タグ:絵本
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