『世界現代怪異事典』(朝里樹) [読書(オカルト)]
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本書『世界現代怪異事典』は、朝里樹氏の前著『日本現代怪異事典』の編纂方針を受け継いで、日本以外の世界各地の巷間で人口に膾炙した奇談・怪異談・噂話・都市伝説を、書籍や新聞・雑誌等の刊行物、テレビ報道、インターネット上等の記録を基として、網羅的な整理を試みた著作である。同様の志で網羅を試みた事典(および事典的雑誌記事)は、昭和以前においてはともかくも、web時代を迎えて以後では初なのではないだろうか。
ここまで徹底的であるという点も、空前にして絶後である。
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単行本p.320
『日本現代怪異事典』に続いて、日本を除く各国で語られている怪異を集め、地域ごとに分類して掲載した事典。単行本(笠間書院)出版は2020年6月です。
まず前作の紹介はこちら。
2018年01月23日の日記
『日本現代怪異事典』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2018-01-23
本書はその続編というべき事典で、アジア、オセアニア、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、その他、という地域分類で様々な怪異を分類整理しています。怪異の種類も、幽霊、妖精、妖怪、未確認生物、怪人、ネット怪談、ほら話(トール・テール)、さらには鼻歩類や平行植物まで網羅。五十音順、国別、という索引も充実。さらには世界史との対照年表、様々な著者による寄稿なども収録されています。
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そうして現代のわたしたちは、こうした「どこか・かなた」の怪異・怪物の情報に、書籍や雑誌の情報、オカルト番組、まとめサイト等を通じて、時間・空間を超越して並行(スーパーフラット)な形で受容することが常態となっている。そこでは、個々の伝承に固有の文脈――時代や文化、地理的・歴史的な背景――が零れ落ち、キャラクターとしての怪異・怪物だけが知識として流通することになりやすい。それは日本のみならず、web時代を迎えた世界全体で進行している文化状況である。
時代や地域の文脈を無化して現代・日本の文脈で再解釈するフラットな受け止め方からは、新たな文化が生まれる可能性がある反面、その時代・地域ごとの文脈を踏まえないままでの理解により怪異・怪物を「誤読」する危険性がある。現代世界の怪異・怪物は、ともすればその出自・来歴などの文化的・歴史的背景を意識しないままになりかねない。現代日本のわたしたちが、世界の怪異・怪物を個別の伝承の文脈に置きなおして向き合い、理解するための碇(アンカー)として、ぜひ本書を活用してほしい。
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単行本p.328
本書『世界現代怪異事典』は、朝里樹氏の前著『日本現代怪異事典』の編纂方針を受け継いで、日本以外の世界各地の巷間で人口に膾炙した奇談・怪異談・噂話・都市伝説を、書籍や新聞・雑誌等の刊行物、テレビ報道、インターネット上等の記録を基として、網羅的な整理を試みた著作である。同様の志で網羅を試みた事典(および事典的雑誌記事)は、昭和以前においてはともかくも、web時代を迎えて以後では初なのではないだろうか。
ここまで徹底的であるという点も、空前にして絶後である。
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単行本p.320
『日本現代怪異事典』に続いて、日本を除く各国で語られている怪異を集め、地域ごとに分類して掲載した事典。単行本(笠間書院)出版は2020年6月です。
まず前作の紹介はこちら。
2018年01月23日の日記
『日本現代怪異事典』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2018-01-23
本書はその続編というべき事典で、アジア、オセアニア、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、その他、という地域分類で様々な怪異を分類整理しています。怪異の種類も、幽霊、妖精、妖怪、未確認生物、怪人、ネット怪談、ほら話(トール・テール)、さらには鼻歩類や平行植物まで網羅。五十音順、国別、という索引も充実。さらには世界史との対照年表、様々な著者による寄稿なども収録されています。
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そうして現代のわたしたちは、こうした「どこか・かなた」の怪異・怪物の情報に、書籍や雑誌の情報、オカルト番組、まとめサイト等を通じて、時間・空間を超越して並行(スーパーフラット)な形で受容することが常態となっている。そこでは、個々の伝承に固有の文脈――時代や文化、地理的・歴史的な背景――が零れ落ち、キャラクターとしての怪異・怪物だけが知識として流通することになりやすい。それは日本のみならず、web時代を迎えた世界全体で進行している文化状況である。
時代や地域の文脈を無化して現代・日本の文脈で再解釈するフラットな受け止め方からは、新たな文化が生まれる可能性がある反面、その時代・地域ごとの文脈を踏まえないままでの理解により怪異・怪物を「誤読」する危険性がある。現代世界の怪異・怪物は、ともすればその出自・来歴などの文化的・歴史的背景を意識しないままになりかねない。現代日本のわたしたちが、世界の怪異・怪物を個別の伝承の文脈に置きなおして向き合い、理解するための碇(アンカー)として、ぜひ本書を活用してほしい。
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単行本p.328
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