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『忘れっぽい天使 ポール・クレーの手』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

――――
わすれっぽいてんしがともだち
かれはほほえみながら うらぎり

すぐかぜにきえてしまううたで
なぐさめる

ああ そうだったのか と
すべてがふにおちて
しんでゆくことができるだろうか
――――
『クレーの天使』(谷川俊太郎)収録
「忘れっぽい天使」より


 2019年12月15日は、夫婦でシアターΧに行って勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんの公演を鑑賞しました。上演時間1時間ほどの作品です。

 画家ポール・クレー(パウル・クレー)を題材にした作品です。勅使川原三郎さんがクレーとなって、芸術に目覚めた青春期の喜び、戦災の恐怖、ナチスによる弾圧の苦しみ、膠原病の発症による苦闘、晩年の創作活動、という流れを、ダンスだけで鮮明にイメージさせます。

 今まで見た覚えのない動きや演出が次々に登場して驚かされます。創作時のひらひらと踊る指、病気で硬直した手の痙攣、戦争をイメージさせる演出(サイレンや機関銃の音、サーチライトのように動く照明)、ナチス時代を連想させる動作(両手で顔を覆って息を殺し、少しずつ少しずつ移動する、息詰まるようなシーン)が印象的でした。

 佐東利穂子さんは天使となり、ときどき白い影のように暗闇から顕現しては、クレーの人生を見つめます。人外の存在らしさにあふれていますが、特に細い光のスリットを歩くシーンがすごかった。

 全体的に劇的でイメージしやすい演出が多く、勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんの公演をはじめて観る人にもおすすめだと思います。





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