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『短歌ホリック第六号 特集『平和園に帰ろうよ』×『煮汁』』 [読書(小説・詩)]

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 大人になって女性とお付き合いしたりするようになったものの最終的に浴びせられる言葉は「最低!」という二文字で、たまに「最ッ低!」という三文字にそれは変わったりした。その結果、お付き合いした女性全員から平手打ちをくらう、という不名誉なギネス記録(あるの!?)が打ち立てられたわけだが、これはもう存在している女性みなさんに対して重大な被害を及ぼしかねない人物だということを、事前に知ってもらうほかないな、という事でここに記させていただきました。みなさん読んでくれてありがとう。
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「知ってもらいたい」(小坂井大輔)より


 第29回文学フリマ東京(2019年11月24日開催)にて購入。書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ第四期に出版された『平和園に帰ろうよ』(小坂井大輔)と『煮汁』(戸田響子)の特集号です。

通販の申し込みは、こちらから
https://twitter.com/stsuji1983/status/1198576808339238912?s=20


 『煮汁』(戸田響子)は読んでいたのですが、『平和園に帰ろうよ』(小坂井大輔)は未読でした。あわてて注文しました。ちなみに『煮汁』(戸田響子)の紹介はこちら。

2019年09月17日の日記
『煮汁』(戸田響子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2019-09-17




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先輩たちのタイトルには、いずれも自然や季節や遥かなものへの憧れがある。だが、『煮汁』。もちろん厨歌的な生活感を象徴しているわけではない。ここには小坂井大輔とも共有されるようなサブカル的なノリというか、一周回ったセンスが感じられる。ただ、実際に読んだ歌集の印象は、そこからもさらにズレるというか、タイトルの逆張り的なインパクトを超えた領域にまで詩性が及んでいるようだ。フォーカスのよく合った小坂井作品とは違って、戸田の歌においては一首ごとのランダムな揺れが詩の成立地点を予測させない。生きることへの違和感が心の奥で発酵したような、捉えどころのない魅力がある。
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「小坂井くんと戸田さんについてのメモ」(穂村弘)より




「脳の考え」(小坂井大輔)より
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パチンコ屋から違うパチンコ屋へ向かう信じる者を神は見捨てない
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礼をした隙にキエェェと面を打つような卑怯なわたしですから
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親友に財布盗られたときの目でドナドナは歌わんとあかんよ
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湯豆腐の豆腐抜きって注文をしたら湯だけが来るか賭けるか
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寝ていなくても横になってりゃ休息はちゃんととれてる説の採用
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あなたが体感している三千倍くらい努力は報われません 終了
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「縁石のうえを走りぬく」(戸田響子)より
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トイレットペーパーの芯にありがとうごさいますって印字してある
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高いバターを買った翌朝すこしだけ冷蔵庫の中あかるく光る
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ひとさじの粒マスタードパンに塗り架空のハムとキャベツをはさむ
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仕組みから外れてただよう公園でエサ横取りした鳩追いまわす
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不本意な謝罪をすれば体からいつまでも出る無数のひじき
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かつて味噌汁とごはんとキャベツのおかわりが自由だという国家があった
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