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『ZENOBIA ゼノビア』(モーテン・デュアー:著、ラース・ホーネマン:イラスト、荒木美弥子:翻訳) [読書(小説・詩)]

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おじさんは 目になみだを ためていた
だいじょうぶだよ おじさん
ゼノビアのこと 思い出して
ゼノビアができるなら わたしにもできるよ
きっとだいじょうぶ わたしはそう言った

自分の むねの中だけに
そう言った
――――


 ある夜、大量の難民を乗せたボートが転覆。海に投げ出された一人の少女は、海底に沈んでゆきながら、これまでのことを思い出す。シリアで、そして世界中で、いま起きていることを短い文章とイラストで描いた痛切なグラフィックノベル。単行本(サウザンブックス社)出版は2019年10月です。


 いわゆる難民問題について考えるとき、それを面倒な政治上の課題として扱う前に、まずは一人一人の人間について想像することから始めなければなりません。


 本書は、シリア内戦を逃れてきた一人の少女の運命を描くことで、似たような境遇にある沢山の人々に、それぞれの人生があり、生活があり、希望や切望があり、大切な人がいる、そんな当たり前だが簡単に無視されがちな事実を想像する力を与えてくれます。


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広くて なんにもない
ここなら だれにもみつからない
――――


 悲しい物語ですが、難民問題なんて自分には関係ない、と感じているなら、まずは読んでみることをお勧めします。他者に対する想像力を欠いたまま自分の人生を生きてゆくのは困難で危険でさえある時代を私たちは生きています。



タグ:絵本
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