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『SFマガジン2019年10月号 神林長平デビュー40周年記念特集/ジーン・ウルフ追悼特集』 [読書(SF)]

 隔月刊SFマガジン2019年10月号の特集は「神林長平デビュー40周年記念特集」および「ジーン・ウルフ追悼特集」でした。


『ユニコーンが愛した女』(ジーン・ウルフ:著、柳下毅一郎:翻訳)
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 キャンパスの西はじ、駐車場は町の中心からうなり声をあげて流れる鋼鉄とゴムの川を送りだす。向こう岸には香りよい松並木。そこをユニコーンが走っている。ときに陰になり、ときに疎らな芝を踏み。短い芝の隣には短く泥混じりの砂利が敷かれ、その隣はコンクリートだ。そのときちょうどアンダーソンは目をあげ、オフィスの窓からユニコーンを見た。
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SFマガジン2019年10月号p.179


 大学のキャンパスに現れた一頭のユニコーン。それを匿った学生と神話保護協会員の冒険をえがく作品。


『浜辺のキャビン』(ジーン・ウルフ:著、村上博基:翻訳)
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 もうひとつの窓へ行ってみた。あの船がいた。だいぶ近い距離で、遺棄船のように波に揺れていた。不格好な煙突から煙は出ず、帆も張られていないが、索具からいくつか黒っぽい旗が垂れていた。と、つぎの瞬間、もう船影はなくて、輪をえがくカモメと、空漠たる海があるばかりだった。声に出して彼女の名を呼んでみたが、こたえる者はなかった。
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SFマガジン2019年10月号p.198


 浜辺で恋人が行方不明になる。沖にはいかにも怪しい幽霊船。意を決した男は、泳いで幻の船に向かうが……。「妖精による誘拐」という伝説を現代風に扱った作品。


『太陽を釣り針にかけた少年』(ジーン・ウルフ:著、中村融:翻訳)
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 八日目、ひとりの少年が釣り糸を海に投じた。八日目の太陽はちょうど昇るところで、幅広い、のっぺらぼうの自分の顔からアトランティスの荒れた海辺――そこでは突出したエメラルドの上に少年がすわっている――まではるばる黄金の道を走らせていた。当時の太陽はいまよりずっと若く、人間の流儀に対処する賢さをいまほど持ちあわせていなかった。それは餌に食いついた。
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SFマガジン2019年10月号p.205


 むかしむかし、アトランティスの少年が、太陽を釣り上げようとした。神話伝承のフォーマットを駆使した作品。


『金色の都、遠くにありて〈前篇〉』(ジーン・ウルフ:著、酒井昭伸:翻訳)
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 そこは美しい場所だった。高くそびえているのは、さまざまな大きさと形の、数かぎりない金の塔だ。どの塔にも旗が翻っている。黄色い旗、紫の旗、青の旗、緑の旗、白の旗。
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SFマガジン2019年10月号p.209


 眠るたびに夢の続きを見る少年。夢の中で、彼は遠くに見える金色の都を目指して歩いている。現実で出会った人や犬が夢の中に現れ、夢の中で起きた出来事は現実を変えてゆく。夢と現の区別が次第に曖昧になってゆく幻想的な作品。〈後篇〉の掲載は次号とのこと。



タグ:SFマガジン
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