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『Down Beat 14号』 [読書(小説・詩)]

 詩誌『Down Beat』の14号を紹介いたします。


[Down Beat 14号 目次]
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『冬のこと。』『引越』(谷口鳥子)
『初音町』『関野』(廿楽順治)
『水遣り三年』(徳広康代)
『塩湖』(中島悦子)
『英雄のひる』(今鹿仙)
『蛇口』(小川三郎)
『でてきなさい』『ケヤキの樹の前で』(金井雄二)
『差出人』(柴田千晶)
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  詩誌Down Beat
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半分枯れ
半分腐り
大方虫に喰われ
半死半生で
私の水遣りに
耐えて
堪えて
適応した植物だけが
生き残って
見事に咲いている
らしいことに
四年目になって
漸く
気付きはじめている
――――
『水遣り三年』(徳広康代)より


――――
真夜中すぎ
台所の蛇口から
水滴が落ちそうになっている。

そのときの蛇口の表情。
時折私は
そんな顔をしているらしい。

それは
あなたに言われたことだ。
――――
『蛇口』(小川三郎)より


――――
狭山郵便局の日付印がある「受取拒絶」の紙が貼られた封書が郵便受けに入っていた。入間市中神に住む「霜村羊子」という女性に宛てた封書。誤配送だろうか。裏返すと差出人にわたしの名前を住所が記されている。書き殴ったような文字はわたしの筆蹟ではない。
(中略)
悪意や憎悪に満ちた言葉が綴られているにちがいないと身構えていたのだが、悪意よりも気味の悪い虚無感が、霧のように床を這い広がってゆく。
受取拒絶をした霜村さんは、差出人の「わたし」を知っているのだろうか。霜村さんに聞いてみたい。
わたしをご存じですか? と。
――――
『差出人』(柴田千晶)より



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