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『エノーマスルーム』(ストップギャップ・ダンスカンパニー) [ダンス]

 2019年3月9日は、夫婦で世田谷パブリックシアターに行ってダンス公演を鑑賞しました。英国のストップギャップ・ダンスカンパニーのメンバー6名(総勢9名)が出演する80分の舞台です。


[キャスト他]

アーティスティックディレクション: ルーシー・ベネット
出演:
 デーヴィッド・トゥール(デイブ)
 ハンナ・サンプソン(サム/デイヴの娘)
 エイミー・バトラー(ジャッキー/サムの母)
 エリア・ロペス(ジャッキー/デイブの妻)
 クリスチャン・ブリンクロウ(トム/サムの友人)
 ナデン・ポアン(チョック)


 人種、性別、年齢、障害の有無に関わらず、ダンサーたちの個性を活かして一つの作品を作り上げてゆくスタイル、ダイバーシティ/インクルージョンを特徴とするストップギャップ・ダンスカンパニーの公演です。

 舞台上には、どこか古めかしく、懐かしい印象を受ける部屋のセット。置かれている家具、ラジカセ、小型モノクロテレビ受像機など、半世紀前の平均的な家の居間という感じ。開幕前から出演者たちによる芝居が無限ループで繰り返されており、そのまま本編に入ってゆきます。どこから始まったのか観客には分かりません。

 最初はそれこそ古めかしいホームドラマの一シーンのような展開が繰り返され、そのうち設定がだんだんと分かってきます。妻が急死して、残された夫と娘が不在感を持て余しながら暮らしているとか。

 舞台上の「現実」からふわふわと遊離したように同じ動作を繰り返す(レコーディング型)幽霊たちも、夫にとっての妻、娘にとっての母親、だということが飲み込めてきて、やがて部屋の「壁」についた戸棚などの扉から唐突に出演者が出てきたり消えたりしてゆき、妄想と現実の区別がなくなってゆく。ここまでが前半。

 後半は舞台上のセットが片づけられ、オレンジ色のノスタルジックで幻想的な照明のもと、抽象ダンスが繰り広げられます。フォーメーション変化が巧みで、動きの先が読めないせいか、途中をすっ飛ばして場面が切り替わってゆくような印象が強く、観ているうちに現実感が失われてゆきます。色々な現実がそぎ落とされて、最後に残るものは何か。ベタといえばベタですが、じんわりと感動が積もってゆくような作品です。



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