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『夏の周波数』(タケイ・リエ、装幀/制作:カニエ・ナハ) [読書(小説・詩)]

 フランス装(アンカット)、ポップアップ、立体展開図など、読者が自ら手を加えることで世界に一冊しか存在しない自分だけの詩集を完成させる。カニエ・ナハさん装幀/制作によるペーパークラフト詩集最新作は、タケイ・リエさんの無限めくり絵オリガミ詩集。発行は2018年7月15日です。

 タケイ・リエさんの「7月の出来事」を題材にした詩が印刷された四枚の紙を、こう、組み合わせて折り畳んで、めくり絵というのでしょうか、無限にめくり続けられる折り紙にしたという驚きの装丁。めくると次の詩が現れ、さらにめくると次の詩、めくり続けると最初の詩に戻って、以下好きなだけめくりめくり。


1986年7月15日 ファミコンが任天堂から発売された日
『ファミコンの詩』より
――――
とうとう
ぼくのたましいは
火を噴いて
これからはひとりでもへいきだ
いっぱいあそべるぞ
まいにちあそべるぞ
――――


1919年7月7日 カルピス販売開始
『カルピスの詩』より
――――
これは夜空に走る白い川
とろりとしろい液
冷蔵庫に入れなくてもよいのです
のみたいときは水で五倍にうすめ
ときどきかき氷にかけるシロップ
地面に垂らすと蟻にたいへん人気
――――


1971年7月20日 日本マクドナルド1号店が銀座に開店した日
『ハンバーガーの詩』より
――――
何度も何度も
何度も会って
彼はマクドと呼んでいたけれど
私は頑固にマックと言い続けて
一緒に食べることはなかった
――――


1868年7月17日 江戸から東京に改称された日
『東京の詩』より
――――
川をはげしく遡上する
ゴジラの幼生を君は観たか
あれは
狂言そのものだったな
天ぷらうなぎ牛鍋どぜうもいいが
浅草観音仲見世通りを歩いて
(あなたとわたし)
人形焼きをいくつかたべて
芋ようかんをいくつかたべて
もうすぐやってくる
次の時代を
待ちぶせしよう
――――



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