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『九月の白い薔薇 ――ヘイトカウンター』(笙野頼子) [読書(随筆)]

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 十月の始め、週刊金曜日に小池知事の行いを千のプラトーにある、捕獲装置という概念をつかって説明していた。フェミ気取りで反原発だの企業課税だのを出しては引っ込めいちいち紛らわす、本質なき偽物の野党ぶりっこ。選挙民を騙せば勝ちの装置。誰も騙されぬようにその言説を私は必死で分析して述べた。終わって家に帰ると立憲民主党が立ち上がっていた。
 あっという間の何週間かで、自民は圧勝したけど権力は野党共闘への恐怖を露にしていた。支えた共産党の「惨敗」と何喰わぬ顔で書く大新聞が嫌で、私は赤旗に選挙総括を書いた。けして党員ではない、ずっと批判してきた。しかし今、ここにだけは真実、ほんの少しでも「保守」ののぞみがある(十月の末、さる方のお世話で、飼主様急死の老猫を迎える、命名ピジョン)。
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「群像」2018年1月号p.167


 シリーズ“笙野頼子を読む!”第114回。

 ヘイトデモに対するカウンターに参加した体験を中心に書かれたエッセイです。「群像」2018年1月号に掲載されました。


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 五月に猫をなくして立てなくなった。それでも八月の始めに本を出した。本の表紙にした亡き猫の顔は、戦争を止めるよ、とロックな眼差しで訴えている。ヘイトと経済収奪と戦争は三位一体、と主張するこの新作には、「さあ、文学で戦争を止めよう」という「あんまりな」題名を付けてしまっていた。
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「群像」2018年1月号p.165


 まずは最新長篇とギドウのこと。いきなりここで泣ける。ちなみに、最新作の紹介はこちら。


  2017年08月03日の日記
  『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2017-08-03


 そしてヘイトカウンターに参加した体験が語られてゆきます。


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 それでも明けて九月一日の朝、両国駅最寄り横綱町公園慰霊祭に向かった。というのも関東大震災で虐殺された方々を悼む会に、今年から新種の嫌がらせが加わったそうなので、ヘイトカウンターをかねた取材に、私は行こうとしていたのだった。
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「群像」2018年1月号p.165


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今もネットを見ていたら、災害があるたび、同じデマが流れる。ヘイトな彼らはいつも、デマを流す。嘘と判ってするの恥ずかしくない? でもそれこそそれよ、相手を蔑んでいるから出来る事だ。
 嫌な時代がどんどん近づいて来て、あっという間にもう目の前にある。しかもヘイトスピーチに対してやっと解消法が出来て、してはいけない事になったはずなのに……。
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「群像」2018年1月号p.166


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 今、この戦前とは何か、それは上が規則を破り公約法律議会全部、本質を失わせ捕獲する世界。そして外国からフェミ認定で褒められた初の女性(極右)都知事は、慰霊祭への追悼文を出さないようにした。ばかりかそのお供養に対抗する嫌がらせ的法事が、このみんなの広場横綱町公園において許可されている。それはお供養の紛らわしい偽物、主催するのは極右女性団体。だけど今や、右も左もない。ここはTPPの平気な人達が、保守を自称する国。
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「群像」2018年1月号p.166


 今もひとり戦い続けている著者のまっとうに通じる言葉が、心に染みこんできます。そして最後に、さり気なく、読者に対する報告が。ほっとした。ほっとしたよ。

 ピジョン、平和の象徴。戦争を止めよう、言葉を取り戻そう。


タグ:笙野頼子
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