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『きみを嫌いな奴はクズだよ』(木下龍也) [読書(小説・詩)]


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やめてくれおれはドラえもんになんかなりたくなぼくドラえもんです
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二階堂ふみと四階堂ふみふみと六階堂ふみふみふみ
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ぼくたちが核ミサイルを見上げる日どうせ死ぬのに後ずさりして
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 『つむじ風、ここにあります』の著者による注目の第二歌集。単行本(書肆侃侃房)出版は2016年5月、Kindle版配信は2016年05月10日です。


 今のリアルを鮮烈な表現でまっすぐつぃーと、感傷のなかに笑いをにじませる第一歌集『つむじ風、ここにあります』に続く第二歌集です。ちなみに第一歌集読了時の紹介はこちら。


  2013年06月06日の日記
  『つむじ風、ここにあります』(木下龍也)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2013-06-06


 さて、まずは人名や固有名詞をうまく使った作品が目をひきます。


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二階堂ふみと四階堂ふみふみと六階堂ふみふみふみ
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わたくしは零時の鐘で赤式部・青式部に分かれてしまうの
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サラ・ジェシカ・パーカーさんが三叉路でサラとジェシカとパーカーになる
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Googleの昼寝によって新着のニュースの欄に寝言がならぶ
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「たすけて」は認識されずGoogleは「マツタケ」のWikipediaを映す
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 「四階堂ふみふみ」の馬鹿馬鹿しさには思わず笑ってしまいました。あと、やっぱりGoogleさんは、頼りになるかも知れないけど、友人にはなれませんね。


 ありそうな、なさそうな、日常的光景の不条理さをさらりと見せるのも巧み。


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リクルートスーツでゆれる幽霊は死亡理由をはきはきしゃべる
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長文のメールに「はい。」とだけ返すのがたのしくてひとりぼっちだ
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恋人を鮫に食われた斎藤が破産するまでフカヒレを食う
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風の午後『完全自殺マニュアル』の延滞者ふと返却に来る
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 個人的には、ブラックユーモアをにじませる怖い作品が好きです。


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やめてくれおれはドラえもんになんかなりたくなぼくドラえもんです
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だけだものあなたにはぼくだけだものだけだものぼくだけけだものだ
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天界のリストラにより大量に焼却処分される羽と輪
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視聴者にこれは夢だと気付かれた夢の制作者は殺される
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負けたとき私が何と戦っていたのか君も知ることになる
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砂浜にH・E・Lまで書いてLを付け足し力尽きよう
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ひらがなのさくせんしれいしょがとどくさいねんしょうのへいしのために
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ぼくたちが核ミサイルを見上げる日どうせ死ぬのに後ずさりして
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