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『飛ぶ教室 第44号(2016年冬) 金原瑞人編集号 えっ,詩? いや,短歌! それとも俳句?』(斉藤倫、最果タヒ、文月悠光) [読書(小説・詩)]


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 自分の好きな詩、歌、句で特集が組めるなんて、おそらく、これが最初で最後でしょう。詩歌に関してはまったくの門外漢で、好きなだけが取り柄のぼくが、好き勝手に作った画期的な超現代詩歌の本がこれです。きっと増刷になると思います。もし売れ残ったら、すべて買い取る覚悟でいます。
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「飛ぶ教室」第44号p.93


 冒険を続ける児童文学総合誌「飛ぶ教室」の最新号は、金原瑞人さん編集による詩歌句の特集です。現代詩については、斉藤倫、最果タヒ、文月悠光という活躍中の詩人三名を取り上げ、編集長が気に入った作品、書き下ろし新作、そしてインタビューを掲載。雑誌発行(光村図書出版)は2016年1月です。


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ここ二十年間の日本の詩、短歌、俳句の世界は
魅力的な新人が次々に登場して、
ぼくなんか、かつてゲームやコミックに
注ぎこんでいた時間がすべて、
こちらにいっているといってもいいくらいだ。
それくらい、面白い!
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「飛ぶ教室」第44号p.5


 というわけで、豪華メンバーが揃った詩歌句特集号です。


俳句
 せきしろ
 又吉直樹
短歌
 斉藤斎藤
 服部真里子
 藤本玲未
 吉岡太朗

 斉藤倫
 最果タヒ
 文月悠光


 ここでは詩の新作から一部を引用して紹介します。中学生、高校生の読者にも興味をもってもらえる題材を選んでいるようですが、作品としては全力投球。大人が読んでも問題ありません。


『種明かし』(文月悠光)より
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歩道橋から夕空見上げて
くらりとして
手のひらを空へと投げた。
途端に、ぱっと飛び散る光。
来世は決まりだ、
シルクハットから生まれる鳩。
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「飛ぶ教室」第44号p.63


『ハッピーバースデー』(最果タヒ)より
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美しいってことにしておきたい、女の子の欲望。
大嫌いだと言えることすら言い訳したいから、正義もパルコに売ってほしい。
間違っているなんて、生きている奴がどうして言えるんだろう。二酸化炭素排出。世界のためにならないきみはいつだって間違っている。文化の日。ためにならない音楽、小説、映画が好きだよ。きみも人生もプチトマトみたいに食べてみたかった。
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「飛ぶ教室」第44号p.74


『裸のATM』(斉藤倫)より
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ATMは服も着ないで
往来に立っている
じぶんたちのいなかった世界が
かつてあったことなど
考えもせずに立っている
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「飛ぶ教室」第44号p.84


『ニュームーン』(斉藤倫)より
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トランクスのすそから
さきいかが出てるなあ
こわいよね
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「飛ぶ教室」第44号p.85



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