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『SFマガジン2015年12月号 《SF Animation × Hayakawa JA》』 [読書(SF)]

 隔月刊SFマガジン2015年12月号は、《SF Animation × Hayakawa JA》ということで、ハヤカワ文庫からノベライズが刊行されているSFアニメを特集。また、パオロ・バチガルピ、シオドラ・ゴスの読み切り短編が翻訳掲載されました。


『終末を撮る』(パオロ・バチガルピ、中原尚哉:翻訳)
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 ルーシーが口述を再開した。途中でフェニックス市街を振り返る。しかしティモは口述内容を聞く必要はなかった。どんな記事になるかわかっている。この大都市で日常生活を送る人々。彼らはまだ知らないのだ。すべてが変わってしまったことを。
 ティモは撮りつづけた。
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SFマガジン2015年12月号p.254

 水資源の枯渇。水利権をめぐって内戦状態に近づいている近未来の米国、アリゾナ州で、命綱たる人工水路が急に枯れたことに気づいたジャーナリストとカメラマンのコンビ。大きな危機が迫っていた。長編『神の水』の前日譚。


『ビューティフル・ボーイズ』(シオドラ・ゴス、鈴木潤:翻訳)
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 これまでの調査では、〈ビューティフル・ボーイ〉は人間の男性と同じ手順で交尾し、繁殖することがわかっている。聞き取り調査によれば、彼らはどうやら恋人としては人間の男性より優れているということだ。もっとも、データによる実証はされていない。
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SFマガジン2015年12月号p.335

 人類に紛れて繁殖するイケメン型エイリアン。その抗いがたい魅力で人間の女性の心をつかみ、妊娠させて去って行く〈ビューティフル・ボーイ〉たち。彼らはどのような種族で、いつごろから地球にいるのだろうか。

 エイリアンの存在に気づいた女性科学者は、彼らの生態を明らかにするべく研究を進めるが、研究対象にあっさり逃げられてしまう。電話番号も嘘、経歴も嘘、愛のささやきも嘘。でも、「彼」は異星生物だから仕方ない。彼女に残されたのは、お腹にいる彼の赤ん坊だけだった。

 それ本当にエイリアンの侵略なの? それともヤリ逃げ男に棄てられた女性の妄想? どちらともつかないまま大真面目に〈ビューティフル・ボーイ〉たちの生態を学術的に解説するところがユーモラス。彼らは大学を中退してレンタルビデオ店でバイトしていることが多いとか、29歳以上のサンプルが見つからないから短命だと思われるとか、メガネっ娘は体臭をかぐだけで彼らを鑑定できるとか。


タグ:SFマガジン
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